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朝日新聞「平成の30冊」を発表 ①同点20位・90年代前半の4冊を紹介

  • 20位「マークスの山」(高村薫)
  • 20位「キメラ 満洲国の肖像」(山室信一)
  • 20位「もの食う人びと」(辺見庸)
  • 20位「西行花伝」(辻邦生)

『マークスの山』(高村薫、早川書房、1993)

 南アルプスで播かれた犯罪の種は、十六年後に東京で連続殺人として開花した――謎の凶器で惨殺される被害者達。若き殺人者"マークス"と警視庁捜査第一課の戦いを圧倒的にリアルな迫力で描き、限りなく深い余韻を残す本格的警察小説! 第109回直木賞受賞作。(早川書房ウェブサイトより)

・平成を代表する社会派女性作家による、記念碑的作品(辻篤子、名古屋大学特任教授)

・男子専科のハードボイルドに女性作家が輩出する基礎を築いた(郷原宏、文芸批評家)

『キメラ 満洲国の肖像』(山室信一、中央公論新社、1993)

 一九三二年三月、中国東北地方に忽然と出現し、わずか一三年五カ月後に姿を消した国家、満洲国。今日なおその影を色濃く残す満洲国とは何だったのか。本書は建国の背景、統治機構の特色を明らかにし、そこに凝縮して現れた近代日本の国家観、民族観、そしてアジア観を問い直す試みである。(中央公論新社ウェブサイトより)

・過去を断罪するのではなく、その時点において存在していた正義や理想というものも評価した点が、すばらしい著作になっていると思う。まさしく、制御不能になってしまった国家が、キメラなのであろう(上野誠、奈良大学教授)

『もの食う人びと』(辺見庸、共同通信社、1994)

 人は今、何をどう食べ、どれほど食えないのか。人々の苛烈な「食」への交わりを訴えた連載時から大反響を呼んだ劇的なルポルタージュ。(KADOKAWAウェブサイトより)

・人間にとって最も源初的な「食う」ことを通して、世界に通底する営みから、政治や紛争を照らし出した稀有な試み。それを、一人の著者がやり通したことに感銘を受けた(外岡秀俊、ジャーナリスト)

・世界各地を「人は何を食べているのか」というテーマで歩き、その生々しい現実を独自の視点で照らし出すルポルタージュの傑作(稲泉連、ノンフィクション作家)

『西行花伝』(辻邦生、新潮社、1995)

 花も鳥も風も月も――森羅万象が、お慕いしてやまぬ女院のお姿。なればこそ北面の勤めも捨て、浮島の俗世を出離した。笑む花を、歌う鳥を、物ぐるおしさもろともに、ひしと心に抱かんがために……。高貴なる世界に吹きかよう乱気流のさなか、権能・武力の現実とせめぎ合う“美”に身を置き通した行動の歌人。流麗雄偉なその生涯を、多彩な音色で唱いあげる交響絵巻。谷崎潤一郎賞受賞。(新潮社ウェブサイトより)

・歌に関心ない多くの人をも、列島を舞う花のせつなさに巻き込んだ筆力がすばらしい(持田叙子、近代文学研究者)

・様々な人物の語りを通じて西行像を浮かびあがらせる手法がすごい(角幡唯介、作家・探検家)

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