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絵本ナビ編集長おすすめの新刊絵本12冊は…? 「NEXTプラチナブック」(2025年2月選定)

【この記事で紹介する絵本】

世界一さわがしい絵本!『たいこどんどん』

『たいこどんどん』(作:三浦 太郎/ブロンズ新社)

たいこたいこ、たたいてみよう。
どん どん
すると聞こえてきたのはトランペットの音。
どん どん
ぷっぷー
ふえの音も加わって……。

こころ弾む、音のパレード。その音は世界中に鳴り響く!

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編集長のおすすめポイント

はじめは静かだったその場所に、「どん!」と音が一つ響いたとたん世界は一変、動き出す。楽しい音につられて、新しい仲間がやってくる。最初に鳴った音はそのままに、次から次へと増えていく。「つみあげうた絵本」の楽しさは、声に出して体感する面白さはもちろん、仲間がどんどん増えていく高揚感や嬉しさもあるのです。この先もどんどん音を鳴らして、さわがしくしていって欲しいものですよね。その調子!

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ガチャリと扉をあけて。『クマダさんのどんぐりコーヒー』

『クマダさんのどんぐりコーヒー』(作:はやし ますみ/アリス館)

引っ越した町に馴染めず、家から出られなくなってしまったクマダさん。窓のカーテンは閉めたまま。どんぐりの木箱に頭をつっこみ、ガリガリ、ボリボリ。ある日、クマダさんがどんぐりコーヒーを淹れてみると、香りが広がり、喫茶店と勘違いした近所の人が入ってきて……。

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編集長のおすすめポイント

「クマダさん」と「どんぐり」と「コーヒー」。その言葉の組み合わせには、不思議と惹かれるものがあります。そこから生まれるのは、懐かしい香り、新しい出会い、誰かの幸せそうな顔、心に残る小さなムフフ。そしてどんぐりマフィン。そういうもの一つ一つが次の行動を起こすきっかけになってくれるのかもしれませんよね。いいなあ、いつかクマダさんのどんぐりコーヒーを味わってみたい!

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学校なんか、とても無理。でも……『ともちゃんとうし』

『ともちゃんとうし』(作:市川 朔久子 絵:おくやま ゆか/岩崎書店)

「ああーん。やだやだ、やだよう」ともちゃんは今日、どうしても学校に行きたくありません。ぽろぽろ、涙がとまりません。お母さんもお仕事に行ってしまいました。ひとりぼっちのともちゃんが仕方なく歩いて角をまがると……そこにいたのは巨大な牛! 牛は、じろりとともちゃんを見ると言います。

「もっ」

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編集長のおすすめポイント

「のっ しり、のっ しり。ぎっ たこ、ぎっ たこ。」一歩進むごとに、大きくひとつ深呼吸。そんなスピードで読んでほしいとおっしゃるのは、作者の市川さん。そこに生まれる時間を想像すると、ちょっとワクワクしちゃいますよね。だってそんなに遅かったら、やらなくてはいけないことがあっても、行かなくちゃいけないところがあっても、あきらめがつくってものです。まずはこの絵本に集中、集中。すっきりした気持ちになってから、また次に進めばいいのです。皆さんも、ぜひ試してみてくださいね。

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そんなことあるわけない……のかな?『あれ?』

『あれ?』(作:unpis /小学館)

おはよう! いつもの朝……のはずだけど。水を入れたコップを倒しても、あれ? こぼれない? 顔を洗ったら、あれ? のっぺらぼう? 今日は、なんだかおかしいな。この家の扉だってあけてみたら……。

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編集長のおすすめポイント

ページを開いてまず目に飛び込んでくるのは、視覚的な違和感。「あれ、なんだかおかしい?」。そこから始まって、なにがおかしいのかな、そんなことあるわけないよね、いや本当にあるわけないのかな……と、頭の中がぐるぐる。当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないかもしれない。次に起こる出来事に期待したり、想像がふくらんでいったり。そんな風に、絵本の枠をこえて、自分のまわりの世界を見渡してみれば、もしかしたら新しい発見に出会えるかも?しれないですよね。

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なにをしても、ほめられる。『ぐうたらねこ』

『ぐうたらねこ』(作:ひがし ちから/ 佼成出版社)

はるくんは、家にいる猫「ぐうたら」が大好き。だけど、時々うらやましく思うことがあります。あくびをすれば「かわいい!」、ごはんを食べれば「えらいぞ」、毛づくろいすれば「じょうず じょうず」。そして、思いっきりぐうたらするのです。そんなある日、はるくんが大事にしていたキーホルダーが行方不明に。家中を探しまわるのですが……。

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編集長のおすすめポイント

学校から帰ってきた時だって、食事やお風呂のあとだって、僕が最高に困っている時だって。目に飛びこんでくるのは、お腹を見せて、でろーんと力を抜き、あくびをしながらふかふかのソファーの上でゴロゴロしている「ぐうたら」の姿。その上、ちょっと何かをしただけでほめられている。はるくんじゃなくたって、思わず声に出てしまいますよね、「いいなあ」って。けれど、その顔はきっと笑っちゃってるはず。だって、もうそこにいてくれるだけでねえ……。

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なにごともない毎日がやってくるまでは。『このほしのこども』

『このほしのこども』(作:吉田 尚令/あかね書房)

この世界のあちこちで、あまりにもひどいことばかりが起きている。誰がなぜこんなことをするの? 何をしたというの? けれど遠い国の子も、隣にいる子も、私と同じ「この ほしの こどもたち」。そうだよ、小さな手を取りあって暗闇をこえていこう。新しい朝のために、好きな場所へ行くために、幸せに生きられる世界をめざして……。

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編集長のおすすめポイント

不安や心配ごとで思うように眠れない夜。そんな時に子どもたちの心をほんの少しでも助けてくれるのは、やっぱり想像の力。一つ一つの暗闇に灯りをともし、すいすいと困難をのりこえていく自分の姿を思い浮かべ、大好きなものの事ばかりを考える。なにごともない毎日がやってくるまでは、せめて「このほしのこども」たちみんなに、そんな力が備わっていきますように。願わずにはいられません。

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石のたどった長い道のりは……『巨石運搬!海をこえて大阪城へ』

『巨石運搬!海をこえて大阪城へ』(作:鎌田 歩/アリス館)

舞台は今から400年ほど前の瀬戸内海にうかぶ島。昔から良い石がとれることで知られるこの島では、大阪城の石垣に使うためにたくさんの石が運ばれたのです。いい石が見つかると、島じゅうから村人が集まり、まわりの木々が切り倒され、足場が組まれ、石を運ぶ道をつくります。石工たちは歌に合わせてノミをたたき……。

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編集長のおすすめポイント

冒頭から登場するそびえ立つような高さの岩に目を奪われると、観音開きのしかけで表現される石が割れる瞬間に興奮し、お祭りのような賑やかさで運ばれていく様子に心躍り、巨大な石が船に乗せられる瞬間に「ほおーー」と声が出る。「石を砕き、人の力で運ぶ」この作業のシンプルな面白さ、凄まじさに夢中になってしまうのです。村人たちが一体となって仕事を成し遂げる気持ち良さが伝わってきます。

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憧れているのは?『はりねずみのおいしゃさん さるくんはヒーロー』

『はりねずみのおいしゃさん さるくんはヒーロー』(作:ふくざわ ゆみこ/世界文化社)

森の病院のはりねずみ先生のもとに、最近毎日のようにどこかをケガしてはやって来るさるくん。いったいどうして、こんなにケガをしてしまうのでしょうか? はりねずみ先生が手当てをしながら話を聞いてみると、さるくんは一冊の本を取り出します……。

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編集長のおすすめポイント

憧れのヒーロー像があるって素敵なことです。でもヒーローの形は、ひとつではありませんよね。大事なのは「誰かの力になりたい」という確固たる信念。あんなに自信をなくしていたさるくんが、目の前で震えるはりねずみ先生のために機転をきかせて動きまわる姿はまさに「ヒーロー」! かっこいいのです。みんなに心配されたっていい。自分のペースで夢を実現していってね、さるくん。

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その違いに心を惹かれつつも……。『もりやまさんと まちやまさんは』

『もりやまさんと まちやまさんは』(作:にしかわ なおこ/教育画劇)

木がいっぱいのもりやまさんと、建物がいっぱいのまちやまさん。同じ大きさだけれど姿は全く違うふたつの山は、お隣どうしのなかよしさん。毎日もりやまさんを見つめているまちやまさんは、もりやまさんの小さな違いにもすぐに気づきます。雨の日も風の日も、日照りや嵐のときも。ずっと一緒に過ごすふたつの山はいつか……。

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編集長のおすすめポイント

もりやまさんとまちやまさん。ページをめくればめくるほど、繰り返し読めば読むほど、それぞれが佇む姿に魅せられていきます。一年を通して劇的に変化していくもりやまさんと、季節によって装いを変えながらもどっしりとした安定感を見せるまちやまさん。その関係性や対比はさまざまなものに置き換えて考えることもできるでしょうし、大きな視野で見てみれば違いなんてないと考えることもできるのでしょう。読む人によって絵本から浮かびあがってくる物語は大きく違うのかもしれません。

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かけがえのない存在として。『ぼくが ここに』

『ぼくがここに』(作:まど・みちお 絵:きたむら さとし/理論社)

ぼくが「ここにいる」ならば、ほかのどんなものだって「ここにいる」ことはできない。も
しここに見あげるほどの大きなゾウがいるならば、そのゾウだけ。手の平に乗るほどの小さなマメがいるなら、そのマメだけしかそこにいることはできない。そこに「いる」だけで、そこに「ある」だけで。ああ、それがどれだけ素晴らしいことなのか……。

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編集長のおすすめポイント

まどさんの詩の中には難しい言葉は出てきません。誰もが理解できるような、日常の中の「あたりまえのこと」を語ってくれます。けれど私たちは、この「あたりまえのこと」に驚き、心を動かされてしまうのです。絵本を通して読んでみれば、さらにその果てしないスケールの大きさとふところの深さを味わい、体験することができるのです。「宇宙が、静かにみんなを守ってくれている……。」そんな風に思える瞬間があれば、この先もきっと自分らしく歩いていけると思えるのです。

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「ただの自分」で生きていく。『なにでもないもん』

『なにでもないもん』(作:少年 アヤ 絵:阿部 海太/岩崎書店)

「わたしが なにでもなかったころ
 わたしは どんなものにだって なれた」

誰しも自由だった子ども時代。けれど、それが突然失われてしまうことがある。自分は自分でいるはずなのに、ここにいるのは自分ではなくなってしまっているのだ。壁にぶつかり、何かがのしかかり、選ばなくてはならなくなる。何でもなかった頃の自分を取り戻そうと、「わたし」は勇気を持ってそこへ飛びこむと……。

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編集長のおすすめポイント

男でも女でもない、ノンバイナリーを自認するに至った少年アヤさんの葛藤を、画家の阿部海太さんが力強くも美しい絵で表現。絶望や悲しみを感じると同時に、絵本の中には、あたたかく透き通るような、あらゆる色彩の光があふれています。自分を肯定し、思いのままに生きていく。ある人にとって、これがどれほど難しいことなのか。知らず知らずのうちに、その誰かの道をふさいでしまっているのではないだろうか。孤独を感じる全ての人に、そして子どもたちを見守る全ての人に、読んでもらいたい一冊です。

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時代と国境をこえて……。『空はみんなのもの』

『空はみんなのもの』(文:ジャンニ・ロダーリ 訳:関口 英子 絵:荒井 良二/ほるぷ出版)

「空って みんなの空だよね」。誰の目にだって映る広い空。ぼくが見れば、ぼくの空。おじいさんが見れば、おじいさんの空。年齢も職業も関係なく、貧しい人にも、びくびくしているうさぎにも、空はどこまでも続いている。決して足りなくなることも、輝きが薄れることもない。どうして空はつながっているのに、大地はさかいめだらけなんだろう……。巨星ロダーリと荒井良二による、時代と国境をこえた問いかけと祈り。

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編集長のおすすめポイント

時代も国境もこえてつながる空。さかいめだらけの地上。「どうして?」。その問いかけが素朴であればあるほど、その絵がのびやかであればあるほど、浮かびあがってくるのは世界が抱える問題の数々。だからこそこの絵本はあるのです。その現実を受け入れそうになった時にこそ、絵本を開き、くり返し問いつづけていくのです。

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絵本ナビ編集長がおすすめする「NEXTプラチナブック12選」はいかがでしたでしょうか。対象年齢も、あつかっているテーマもさまざま。気になった絵本があったら、ぜひ手にとってみてくださいね。絵本ナビ「プラチナブック」連載ページへ

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