「これがやりたい!」という内発的動機で働くのを「自分モード」、「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えるのを「他人モード」と、戦略デザイナーの著者は呼ぶ。他人モードは次第に疲弊。著者も20代後半にうつで1年間休職を経験した。
自分モードを取り戻すには、実現可能性は度外視して直感する「妄想」こそが起点となるとして、妄想を実際に具現化する方法を伝授する。
妄想を引き出すには生活の中に余白が必要で、例えば、毎朝、余白の時間をつくり、紙のノートに自分の感情を言葉として吐き出す。複雑な世界をありのままに知覚するため、「その日の色」を決め、その色をしているものを見つけたら写真に撮ってみる。アイデアを実現する際は、試作品の「具体化→フィードバック→具体化」を反復し、「早めに失敗」をしておく等々。
特徴的なのは、絵を描くなど「手を動かす」ことや、視覚・聴覚・体感覚など、身体性を重視すると同時に、言葉に落とし込む概念化も求めること。「イメージ脳」と「言語脳」を使う「両脳思考」だ。
社員が「自分モード」に転換した方が企業にとっても成果に結びつく。もう一つの働き方改革の本でもある。=朝日新聞2019年4月20日掲載
編集部一押し!
- 新書速報 金融史の視点から社会構造も炙り出す「三井大坂両替店」 田中大喜の新書速報 田中大喜
-
- 朝宮運河のホラーワールド渉猟 彩坂美月さん「double~彼岸荘の殺人~」インタビュー 幽霊屋敷ホラーの新機軸に挑む 朝宮運河
-
- インタビュー 井上荒野さん「照子と瑠衣」インタビュー 世代を超えた痛快シスターフッドは、読む「生きる希望」 PR by 祥伝社
- インタビュー 「エドワード・サイード ある批評家の残響」中井亜佐子さんインタビュー 研究・批評通じパレスチナを発信した生涯 篠原諄也
- BLことはじめ BL担当書店員の気になる一冊【2024年1月〜3月の近刊&新刊より】 井上將利
- 杉江松恋「日出る処のニューヒット」 加速する冤罪ミステリー「兎は薄氷に駆ける」 親子二代にわたる悲劇、貴志祐介の読ませる技巧に驚く(第12回) 杉江松恋
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(後編) 辞書は民主主義のよりどころ PR by 三省堂
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(前編) 「AI時代」の辞書の役割とは PR by 三省堂
- インタビュー 村山由佳さん「二人キリ」インタビュー 性愛の極北に至ったはみ出し者の純粋さに向き合う PR by 集英社
- 朝日ブックアカデミー 専門外の本を読もう 鈴木哲也・京大学術出版会編集長が語る「学術書の読み方」 PR by 京都大学学術出版会
- 朝日ブックアカデミー 獣医師の仕事に胸が熱く 藤岡陽子さんが語る執筆の舞台裏 「リラの花咲くけものみち」刊行記念トークイベント PR by 光文社
- 朝日ブックアカデミー 内なる読者を大切に 月村了衛さんが語る「作家とはなにか」 「半暮刻」刊行記念トークイベント PR by 双葉社