早稲田大学で学生たちが大学本部を占拠してから50年。「早大闘争を振り返る集い」が4月、早大そばのホテルで開かれた。歌人の福島泰樹さん(76)も参加し、「あれだけの学生が参加したのに、その後一切口をつぐんでしまった。全共闘の闘いを後の世代に伝えられなかったのは、われわれの責任だ」と語った。
福島さんは1962年、早大に入学。日大や東大から広まる全共闘運動に先行した「第1次早大闘争」の世代で、69年に自身の闘争経験を歌った歌集『バリケード・一九六六年二月』を発表し、歌人として世に出た。
「僕らの時代はセクト化される以前の本当の学生運動。入試阻止など、その後の運動の戦術は僕らの闘いから始まったんです」
学費値上げなど身近な問題から始まった早大闘争はその後、内ゲバ殺人などを経て、特定の過激派セクトによる学内支配をもたらした。現在ではそれも衰退し、学生による政治的な運動はほとんど絶えている。
自作の短歌を朗読する「短歌絶叫コンサート」を今も毎月続けている福島さん。会場でも、闘争を詠みこんだ歌を絶叫した。
《革命の疾風怒濤 旗をふる樽見! 論理を美しく研ぐ》(樋口大二)=朝日新聞2019年5月22日掲載