「日本人は右傾化したのか」書評 世代による意識の差に注目
評者: 斎藤美奈子
/ 朝⽇新聞掲載:2019年10月19日
日本人は右傾化したのか データ分析で実像を読み解く
著者:田辺俊介
出版社:勁草書房
ジャンル:社会・文化
ISBN: 9784326351794
発売⽇: 2019/09/14
サイズ: 20cm/270,60p
日本人は右傾化したのか データ分析で実像を読み解く [編著]田辺俊介
日本スゴイ系のテレビ番組、嫌韓をあおる言説の横行、強硬的な安全保障政策を打ち出す安倍政権の長期化……。2010年代の日本には右傾化と呼びたい現象が目立つ。だけどほんとのところはどうなのよ。
この問いに量的社会調査データの分析から解を出した本である。ナショナリズムを純化主義、愛国主義、排外主義などの要素に分け09年、13年、17年の比較を通して導かれた結論は当たり前だが単純ではない。
ただし、注目すべきは世代による意識の差だ。〈ナショナリズムに関しては、いまなお年長世代ほど保守的、右派的である〉半面、平成生まれの若者世代に特徴的なのは、権威に従属的な権威主義だという。分析者はそれを「右傾化なき保守化」「イデオロギーなき保守化」と呼ぶ。全体の7割が脱原発志向なのに対し若者世代だけが原発に肯定的なのはなぜ!?
10人の研究者による共同研究の書。論文論文してんのだけが難点だけど。