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「潜入ルポamazon帝国」書評 巨大IT企業のバックヤードへ

評者: 石川尚文 / 朝⽇新聞掲載:2019年11月09日
潜入ルポamazon帝国 著者:横田増生 出版社:小学館 ジャンル:ノンフィクション・ルポルタージュ

ISBN: 9784093801102
発売⽇: 2019/09/17
サイズ: 19cm/351p

“世界最大の小売企業”アマゾンによって、いまや日本市場は制圧されつつある。果たして、その現場では何が起きているのか。アマゾンのさまざまな現場に忍び込み、「巨大企業の光と影…

潜入ルポamazon帝国 [著]横田増生

 15年前にアマゾン潜入記を書いた著者が、再び同社の物流センターに労働者として潜り込む。端末の指示に従って商品取り出しを繰り返し、一日2万5千歩。そこには巨大化し、あらゆる商品を売る企業に変貌したアマゾンの姿があった。
 ただ本書において潜入は入り口だ。作業中の死亡事故の様子を社員や遺族から聞き出し、配送トラックに同乗。さらに出品事業者やフェイクレビューの書き手など幅広い当事者を訪ね歩く。拡散気味にも思えるが、それだけアマゾンが社会の様々な面に影響を与えていることの表れだろう。
 死亡事故をめぐる著者の質問に対し、アマゾンの広報は、具体的な回答を差し控えるといった「木で鼻を括ったような」対応しかしなかったという。
 この9月に、11万件もの利用者の住所や注文履歴などを別の利用者に誤表示した際も、アマゾンの対外説明はほとんど内容がなかった。こうした企業体質を見ても本書の価値は高い。