先日発表された「今年の漢字」は「令」。令和元年を迎えた年だからこそ選ばれた一文字ですが、その漢字の成り立ちについてはあまり知られていないのでは?
そんな時に役立つのが「漢字なりたち図鑑」です。教育漢字に、私たちが日常生活でよく目にする漢字を加えた全1223字の漢字の成り立ちを、「人の体」や「動物」、「気持ち」「家族」「仕事」など様々なテーマで分類し、イラストを交えて解説。総画索引もついているので、気になる漢字をすぐに調べることもできます。
ちなみに「令」の漢字は、既存の漢字を組み合わせて生まれた会意文字。「人」と「一」を合わせた上半分と、下半分はひざまずく人の絵から生まれた「卩」からできています。上半分の意味については諸説あるものの、全体としてはひざまずいて神や君主の“命令”を聞くことを表すのだそうです。
個人的に意外な由来だったのが「愛」。こちらも同じく会意文字で、後ろを向くことを表す「旡」、人の「心」、足を意味する「夂」を組み合わせてできたものだそうです。もともとの意味は、「心残りがあって振り向きながら進む」ことらしいのですが、気になって仕方がないというところから現在の「愛する」という意味で使われるようになったんだとか。
漢字をじっと見ていると、当たり前のように思えていた漢字の形がだんだんと不思議なものに見えてくる瞬間があります。そんな時こそ、本書を開いてみてください(掲載されていない漢字は自分で調べてみるのも一興)。先人たちの創造力の豊かさと漢字の奥深さに改めて気づかされます。