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瀬戸内寂聴さん97歳の新刊 「遺言」初めて題名に

『寂聴 九十七歳の遺言』を手にする瀬戸内寂聴さん=京都市右京区

 作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが、愛や孤独について語り下ろした新刊『寂聴 九十七歳の遺言』(朝日新書)を出した。本のタイトルに「遺言」と付けるのは初めて。「97歳って言ったらね、今夜死んでも不思議じゃない。97まで生きてきた私の、最期の遺言として残したい」と話す。

 第一章は「生きることは愛すること/愛することは許すこと」と題した。「私の経験から生まれた言葉」と語り、京都の寂庵(じゃくあん)で月に一度開く法話でも、たびたび口にする。老いのもたらす孤独や死との向きあいかたにも触れ、最後の章は書くことの喜びで締めくくった。

 「縦から見たって横から見たって私は小説家なんだから、書くことがいちばん励みになります。死ぬ瞬間まで、あれを書きたいのにと思いながら死ぬんじゃないですか」と話した。

 今秋は、寂庵での法話をまとめた『はい、さようなら。』(光文社)も刊行された。2009~19年に雑誌「女性自身」に掲載された法話から、自身が選んだ8回分を収めている。(山崎聡)=朝日新聞2019年12月18日掲載