「あの小説をたべたい」は、好書好日編集部が小説に登場するごはんやおやつを料理し、食べることで、その物語のエッセンスを取り込み、小説の世界観を皆さんと共有する記録です。
今回は、J・シュピーリ『ハイジ』の世界へ。
人里を離れ、アルプスの山にひとりで暮らす頑固なアルムじいさん。ある日、孫娘のハイジがやってきて一緒に生活することになります。
ハイジは大自然に囲まれてのびのびと幸せな日々を送っていましたが、突然都会へ行くことになってしまい……。
アニメや映画の映像作品でもおなじみの児童文学です。
「すてきな味わい」を食べる
『ハイジ 』といえば大自然ということで、せめて身近な自然を感じようと外へ。そよ風や木漏れ日を感じながら、アウトドア料理に挑戦してみました。
『ハイジ 』に登場する食べ物の中でも誰もが一度は食べてみたいと思うのは、ハイジ がおじいさんと出会った日に食べた昼ごはんではないでしょうか。
おじいさんは、長い鉄のくしに、大きなチーズのかたまりをつきさして、なべの下の火にかざし、あちこちむきをかえては、ぜんたいがこんがり黄金色になるようにあぶりました。
とろ〜りととろけてくれそうなラクレットチーズを串に刺し、ガスバーナーであぶってみます。なかなかいい塩梅にはとろけてくれませんが、焼きチーズの香ばしい香りが鼻をかすめてきたら、そろそろ食べごろです。
ハイジ はパンにやわらかいチーズをぬって、せっせと食べました。よくやけたチーズは、バタみたいにやわらかくて、パンととけあってすてきな味わいでした。
チーズが冷めて固まってしまわないうちに、用意していたパンにオン! ハイジにも負けないくらいせっせと食べたら、次のチーズをあぶります。この「すてきな味わい」のループはなかなか止められないこと必至です。