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明智光秀、徳川家康…日本史重要人物の伝記シリーズ、62年かけ300冊突破 吉川弘文館「人物叢書」

 歴史書専門の出版社・吉川弘文館が刊行する日本史上の重要人物の生涯をまとめた伝記シリーズ「人物叢書(そうしょ)」が、通算300冊を達成した。刊行開始から62年での節目となった。

 1958年にシリーズの出版が始まった。1冊目は明智光秀。4年後の62年に100冊目の菅原道真を刊行。90年に200冊目の円珍、そして今年1月下旬に300~302冊目が同時刊行された。

 300冊目で取り上げられたのは、江戸幕府をつくった徳川家康。著者は藤井譲治・京都大学名誉教授で、400ページ超と、このシリーズとしてはかなりの大著。一次史料を精査し、家康がいつ、どこで、何をしていたかを出典を明示しつつ、詳細に追いかけている。それを簡潔にまとめた巻末の「家康の居所・移動表」も見どころの一つだ。

 301冊目は、宣教師で「日本史」の著者として知られるルイス・フロイス。302冊目は、南北朝時代の公家で連歌の大成者の二条良基だ。吉川弘文館によると、1949年に設立された日本歴史学会の理事会が著者を決定し、同社に製作・販売などを委託している。2月には同学会編による別冊『人とことば』を刊行予定。歴史上の人物117人が残した言葉とその生涯をまとめたアンソロジーだ。

 このほか300冊記念として、品切れとなっていて出版リクエストが多かった蘇我蝦夷・入鹿、足利直冬、上杉鷹山、津田梅子ら15点が復刊された。現代の視点から、旧作を読み返すのもおもしろそうだ。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2020年1月29日掲載