【漢字検定1級試験問題・例題】
「馴鹿」の読み方を答えなさい。
1.アリクイ
2.トナカイ
3.バカ (正解はページ下に)
漢字を極め、クイズ番組への進出をもくろむ
「惨敗でした。正直甘く見てましたね……」。そううなだれるのはお笑いコンビ・オジンオズボーンの篠宮暁さん。難しい漢字の書き方を独特のリズムをつけ“秒”で暗記する方法を紹介する動画が話題となり、様々な漢字の暗記法をまとめたムック『秒で暗記!漢字ドリル』が発売、順風満帆そうに見えますが……。
「昨日が漢字検定準1級の試験やったんです。2019年11月に2級の試験に合格し、勢いをつけて臨んだんですけど、全然歯が立たなくて。『調子乗んなよ』っていう洗礼を受けているようでした」。2級の試験の出題単語が約2000語、準1級からは3000語と一気に1000語増えます(ちなみに1級は6000語)。「2級から準1級の1000語の壁は高かったです」
漢字検定の勉強を始めたのは、芸歴を重ね、お笑い芸人のブレイクの登竜門であるM−1グランプリへの出場資格がなくなったことがきっかけ。少しでもテレビに出るチャンスを作ろうと昔から好きだった漢字を極め、クイズ番組に進出しようと目論みます。
「漢検1級とったら出れるんじゃないかと。どうせ勉強するなら自分の好きなものがいいなと思ったんです。いろんな芸人が番組に出たいがために知識を入れたりすることはよくあるんですけど、結局続かなかったりテレビに出れてもボロがでるんですよ。僕は高校生の頃にお笑いの世界に飛び込んだので大学受験もしてないし、学校のテストも真剣にやっていた方ではなかったけど、漢字を覚えるのは好きやったんです。これならもう一回ちゃんと勉強してみてもいいかなと思いました」
こうして独学で漢字の勉強を始めた篠宮さんは、漢字検定試験に出題される難関漢字の一つひとつを「分解して覚える」という方法を編み出します。「ひたすら書いたり声に出して覚えるんですけど、難しくて覚えにくい漢字も、その一文字を細かくすればすっと頭に入ってくると気づいたんです」
「鬱」の書き方動画をツイッターにアップ→即バズ
漢字を分解し暗記する“秒で漢字暗記”を動画で見せるという、更なる「発明」が生まれたのは意外な経緯だったそう。「芸人の仕事でYouTubeをもっと活用しようという話になり、とにかく毎日ギャグやネタをあげていた頃に、“秒で漢字暗記”の『鬱』の書き方動画もあげてみたんです。でもその時は特に反響はなかったですね」
そんな中、先輩芸人よゐこの単独ライブの打ち上げで転機が訪れます。「打ち上げに同席した放送作家の鈴木おさむさんに『篠宮のツイッターはおもしろくない。かわいいと思われたいのか』って言われたんですよ。くそー!って気持ちが湧いて、次の日に、これでどうだ!という思いで『鬱』の書き方動画をツイッターにもアップしました。そしたらすぐにバズって」
昨年10月1日に最初の書き方動画「鬱」をアップし、そこから4カ月でフォロワーは約3万人増。書道家の武田双雲さんが篠宮さんの書き方を手本にした動画をあげるなど想定外の余波が次々と広がりました。「こんなSNSの使い方があるんや、って驚きでした。学校の先生から『今度授業で使ってみます』ってコメントもらえたり、うつ病の方から『悩んでるのがアホみたいに思えて元気が出ました』というメッセージをいただいたりもしました」
周りの芸人仲間からも続々とエールが届きます。「いろんな芸人がリツイートしてくれたりメディアで取り上げてくれたんですよ。21年芸人をやってきてここまで周りの人たちからの後押しを感じるのは初めて。後輩たちからすると『はよ、売れてください、兄さん』みたいな感じかもしれないですけど(笑)。でも、おもしろがってくれてるのは嬉しいですね」
漢検2級に合格、準1級を目指して勉強の日々
新しい地図の草彅剛さんがYouTubeで「鬱」の書き方をとりあげるほか、ピコ太郎さんとのコラボも実現。SNSでのブレイク後の2019年11月、漢字検定2級にも合格しました。現在は準1級をパスすべく毎日30分から1時間の勉強をコツコツ積み重ねています。
「(昨日の)準1級の試験は勉強期間が年末年始にかぶってしまい芸人の仕事との両立が難しく思うように進まなかった。次回の試験は6月。試験翌日の今日は試験に出た範囲を復習しました。またこれから毎日コツコツ勉強します。息子が公文のテキストをやってるんですけど、一緒に隣で勉強することもありますよ。子どもに勉強しろって言ってる手前、自分もやらなカッコがつきませんから」
ちなみに、どうしても分解して音にするのが難しい漢字もいくつかあるそう。「『豚』の部首の部分。左の“月(にくづき)”の方じゃなくて、右側の“豕(いのこ)”って方なんですけど。これが覚えにくい上に分解しづらくて苦戦してたんですけど、いつまでも避けておくわけにもいかないし。ここ、英語の『J』に見えません? それで『J』ってことにして……」と笑いを誘います。まだまだ新しい“秒で漢字暗記”の登場が期待できそう。
「部首を答える問題が苦手なんですよ。部首って法則が見えにくいんです。冠の部分にあるものや漢字の左側にあるものだけが部首とは限らない。それから例えば『竜』という漢字はそのまま全部が部首だったり、ひっかけ問題もある。逆に、誤字訂正問題はゲームみたいでおもろいですね」
今年の1月には念願のクイズ番組にも出場しました。「めちゃめちゃ楽しかったしもっとやれたなと思えた部分もありました。次の目標はクイズの題材にしてもらうこと。僕の読みが流れて、『これはなんの漢字の覚え方でしょうか?』みたいなね」。明るい色使いにリズミカルな暗記法。『秒で暗記!漢字ドリル』から篠宮さんのポップな芸風を感じ取るのもこの本の楽しみ方の一つかもしれません。