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「ダイナソー・ブルース」書評 恐竜絶滅の謎めぐる論争史

評者: 黒沢大陸 / 朝⽇新聞掲載:2020年05月02日
ダイナソー・ブルース 恐竜絶滅の謎と科学者たちの戦い 著者:尾上 哲治 出版社:閑人堂 ジャンル:地球科学・気象

ISBN: 9784910149004
発売⽇: 2020/02/21
サイズ: 19cm/293,17p

なぜ恐竜は消えたのか。6600万年前の地球に何が起こったのか。きっかけは、ある老天才科学者の異端の仮説だった−。地球最大級の「未解決事件」に探偵科学者たちが挑む、本格サイ…

ダイナソー・ブルース 恐竜絶滅の謎と科学者たちの戦い [著]尾上哲治

 自説こそ恐竜(ダイナソー)絶滅の原因だと主張する科学者たちの論争の歴史が語られる。学者たちは、説を裏付ける証拠を調査と研究で集め、他説の矛盾を突いてきた。
 反対論者への執念深い攻撃、異分野の研究者に対する嘲笑や拒否反応。欠陥を指摘されても正面から論争せず主張を繰り返す。世間受けする「定説を覆す研究」でメディアを引きつける学者もいる。世間でも見かける行動ではないか。
 地質学者である著者ならではの視点や経験から、浮世離れしていそうな恐竜研究者の人間味がにじむ。
 世界的に議論される学問では横車を押せない。根拠が積み重ねられる天体衝突説の前に、非合理な説は論争対象でなくなっていく。
 観察してきた地層も、衝突説を頭に置いて見れば、見逃してきた証拠が突然見え始めるという指摘が興味深い。知識はみえる世界を変える。ウイルスは見えずとも何が危険か知らされ、行動が変わったように。