科学実験は、誰がやっても同じ結果が出ることを目指す。しかし、科学実験を伝える映像は違う。「結果」は同じでも、どう映像を作るかで、伝わる印象が変わる。タイトルは、熱が鉛に伝わりカタカタ、音を立てるスプーンから。本当にうるさい。見ながら笑っちゃう。実験ってこんな面白かったっけ? 実験中の「影」だけを最初に見せたり、小さなロウソクが乗った可愛い車が動いたり、「どう伝えるか」にこだわったアイデアが満載。YouTubeでも公開されているので見てみよう。短い映像の中でいくつもの驚きが生まれる。
監修の佐藤雅彦はかつて、シンプルだが斬新なルールに基づくCMを作りお茶の間の人気を博した。幼児番組ピタゴラスイッチではユーフラテスらと共にアイデアの無限の可能性を示してきた。佐藤の使命感によって生まれた「未来の科学者たちへ」と題された映像シリーズをまとめた本書。「未来」という言葉が、今ほどよく伝わる時はない。=朝日新聞2020年5月2日掲載