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「パワハラ問題」など注目の新書5選(朝日新聞2020年11月21日掲載)

『パワハラ問題』

 6月からパワハラ防止法が施行され、ハラスメントに詳しい弁護士が、管理職や経営者の立場からパワハラに該当する行為について解説した。一方で、パワハラを見て見ぬふりをしてはいけないとの教訓や、身近な場所で起こった最新ケースは、一般社員も知っておきたい基礎知識となっている。
★井口博著 新潮新書・880円

『悲しみとともにどう生きるか』

 世田谷一家殺害事件で妹とその家族を亡くした入江さん。不条理な悲しみとどう向き合うのか。一家を悼む入江さん主宰の集まり「ミシュカの森」の呼びかけに応じ、ノンフィクション作家の柳田邦男さんや批評家の若松英輔さんら6人が語ったメッセージを1冊にまとめた。
★入江杏ほか著 集英社新書・924円

『水都 東京』

 東京は、隅田川などの川や掘割が巡り、海に開かれた「水の都市」だ――。35年前、自著『東京の空間人類学』で示したこの見方を、下町・山の手だけでなく、井の頭池や玉川上水のある武蔵野・多摩地域にも広げ、古代までさかのぼって考えた、著者の東京研究「集大成」の一冊。
★陣内秀信著 ちくま新書・1100円

『ルポ トラックドライバー』

 かつては1千万円以上稼ぐドライバーもいたが、事業者間の競争激化で、今や「稼げないハードな仕事」に。ネット通販が活況のなか、人材不足は深刻さを増す。著者によるトラック同乗取材などから、担い手の高齢化やコロナ禍での感染リスクの問題、物流の未来を考察していく。
★刈屋大輔著 朝日新書・869円

『宇宙に行くことは地球を知ること』

 宇宙飛行士の野口氏とミュージシャンの矢野氏との対談。宇宙や国際宇宙ステーションでは感覚や心はどう変化するのか。なぜボーイングではなくスペースXが宇宙船開発競争に勝てたのか……。畑違いの2人ならではの対話の面白さが随所で光る。
★野口聡一、矢野顕子著(取材・文=林公代) 光文社新書・990円=朝日新聞2020年11月21日掲載