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長浦京さん「アンダードッグス」インタビュー 国際的陰謀、途方もなさを

長浦京さん=ホンゴユウジ氏撮影

 作家の長浦京さん(53)が、『アンダードッグス』(KADOKAWA)で初の直木賞候補入りを果たした。受賞は逃したが、世界各国の陰謀がうずまくスケールの大きさは際立った。昨年12月発表の「このミステリーがすごい!」でも国内編で5位に選ばれた注目作だ。

 作家デビューは、2012年。放送作家として活動していたが、長年の持病だった潰瘍(かいよう)性大腸炎が悪化、約1年半外にも出られない状態が続いた。それまでの仕事が続けられず、「なんとかならないか」と初めて書いた『赤刃(せきじん)』で小説現代長編新人賞。続く『リボルバー・リリー』は大腸がんと闘いながら書き上げ、大藪春彦賞を受けた。現在は回復し、年2回程度入院しながら執筆を続ける。

 4作目となる『アンダードッグス』は、元農水官僚の証券マンが、中国に返還される直前の香港を舞台に、国家機密の争奪戦に巻き込まれるミステリー。ずば抜けた能力を持つわけではない主人公だが、米国や英国、ロシア、中国などの諜報(ちょうほう)機関と渡り合うスケールの大きな物語だ。「小さく書こうとしても、どうしても大きくなってしまう。途方もない、ぼうぜんとする感じを作品の中に出したい」と話す。

 逆転に次ぐ逆転。「これが最後とうっすら思いながら書いている」。仕掛けやアイデアを惜しまずつぎ込んだ。「もうちょっと生き延びられて、もう一冊出せたな、という積み重ねですね」(滝沢文那)=朝日新聞2021年2月3日掲載