宇佐見りんさん、西條奈加さん芥川賞・直木賞贈呈式であいさつ

史上3番目に若い21歳で芥川賞を受けた宇佐見りんさんは、「私の胸に最初にあったのは、本当にいいんだろうかという気持ちでした」と語った。受賞作「推し、燃ゆ」(文芸2020年秋季号、河出書房新社刊)は2作目。「自分のなかではまだまだという自覚があり、すごく悔しい思いも持っています」と率直な思いを言葉にした。
その上で、「でも、それが書くことの楽しさでもあるんだろうなと思います」と前向きに。「編集さんに一刻も早く次の原稿を見せたい、本を読んでくださる方々に早く届けたい、その一心です」と話した。
一方、初めて候補となった『心淋(うらさび)し川』(集英社)で直木賞が贈られた西條奈加さんは、発表当日の受賞会見について、「テンパっていたとはいっても、あまりにもひどかった。全然うれしくないような解釈もされ、かなり反省しております」と振り返った。
「私は自分のことを話すことだけは非常に苦手としておりまして、特にうれしいとかかなしいとか、そういう感情を素直には表現できない」と恐縮。「いちばん自分が言いたいことを近いかたちで出せるのが、執筆においてだなと作家になってから実感するようになりました」と語った。(山崎聡)=朝日新聞2021年3月3日掲載