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故・中村哲医師が遺した熱い思い 「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」が待望の文庫化

中村哲・澤地久枝(聞き手)「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る ――アフガンとの約束」

 2019年12月、アフガニスタンで銃撃により命を落とした中村医師。旧ソ連軍の武力侵入、内戦、さらには米英軍の空爆、相次ぐテロなど、戦火が脅かし続けるアフガンの地で長年、ハンセン病などの治療や難民の診療に従事しました。2000年に起きた史上空前の干ばつ以降は、井戸掘りや用水路を造る活動に奔走。貧しい人々や病める人々に生きていく具体的な答えをもたらそうと、その活動は揺るぎないものでした。

 中村医師はなぜ人生の大半をこの活動に捧げたのでしょうか。そこには、どのような思いがあったのでしょうか。

 クリスチャンとしての信仰、幼いころに素読した論語、家族に対する情の厚さ、「縁の下の力持ち」だったという妻や家族、PMS(平和医療団日本)職員らの支え……。作家・澤地氏との対話から医師の素顔が浮かび上がっていきます。

 水を確保できればアフガンは再生できる。故郷で家族と毎日3度の食事ができるようになれば、外国軍や武装勢力に雇われる必要もなくなり平和が戻る。軍事ではなく農業によるアフガン平和復興を目指した医師の熱い思いが詰まった一冊です。

 文庫化にあたって、澤地さんの痛切な思いのこもった「あとがき」、中村医師の遺志を継ぐ現地PMSスタッフによるメッセージ「現地スタッフからの便り」が収録されています。

語りかける中村哲医師(ペシャワール会提供)

本書「あとがきに添えて」より(中村哲医師)

 アフガニスタンは日本人にとって最も解りにくい国の一つである。様々な意見や解釈が飛び交い、実像をつかみにくい。いわば「情報の密室」である。しかし、今アフガニスタンで進行している出来事は、やがて全世界を巻き込む破局の入り口にすぎない。(中略)世界中で「グローバル化」の功罪がささやかれるが、その不幸な余波をまともに受け続けているのが、この国である。「アフガニスタン」は、良きにつけ悪しきにつけ、一つの時代の終焉と私たちの将来を暗示している。(中略)

 もし現地活動に何かの意義を見出すとすれば、確実に人間の実体に肉迫する何ものかであり、単なる国際協力ではなく、私たち自身の将来に益するところがあると思っている。人として最後まで守るべきものは何か、尊ぶべきものは何か、示唆するところを汲んでいただければ幸いである。

「100の診療所より、一本の用水路を」 取水堰を造る中村哲医師(ペシャワール会提供)

本書の内容

Ⅰ 高山と虫に魅せられて
 ペシャワールとの縁/二〇〇一年十月、衆議院/髭と帽子/伯父火野葦平/洗礼と論語素読/川筋の気質/家族に対する情/対人恐怖症/精神の転機/典型的な日本人主婦/宗教の「共通性」
Ⅱ アフガニスタン 命の水路
 よみがえる大地/「時差」四時間半/マドラッサ/家族/命の重さ/自爆テロ/後始末/流れ弾があたる/安全の限界/参議院、二〇〇八年十一月
Ⅲ パシュトゥンの村々
 復讐の掟/「戦争」の名分/現地スタッフの変化/ただ一人残って/精神のよりどころ/丸腰の米兵が水路を掘れば/リウマチ熱、カイバル峠
Ⅳ やすらぎと喜び
 日々の楽しみ/生きものたち/これからの見通し/「情を交わす」ハトの目/縁の下の力持ち/一人の父親/アフガンの再生/運命にみちびかれて

あとがき………澤地久枝
あとがきに添えて………中村哲
岩波現代文庫版あとがき………澤地久枝
[現地スタッフからの便り1] 中村先生の魂は我々と共に
 PMS副院長/ジャララバード事務所所長 ジアウル・ラフマン
[現地スタッフからの便り2] ドクターサーブ中村の意志を継いで生きていきます
 PMS職員 灌漑事業アドバイザー ハッジデラワルハーン
付録 中村医師関連著書等

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