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「アメリカ副大統領」書評 米政界を軽妙に描く

評者: 生井英考 / 朝⽇新聞掲載:2021年11月20日
アメリカ副大統領 権力への階段 著者:笠井 亮平 出版社:白水社 ジャンル:政治・行政

ISBN: 9784560098615
発売⽇: 2021/09/01
サイズ: 20cm/392,18p 図版16p

ニクソンからゴア、チェイニー、バイデン、ペンスまで。ホワイトハウスの取材を重ねたベテラン・ジャーナリストが、正副大統領の力関係と人間模様を軸に、「ナンバー2」の視点から、…

「アメリカ副大統領」 [著]ケイト・アンダーセン・ブラウワー

 合衆国副大統領(バイス・プレジデント)、略して「ヴィープ」(Veep)。
 なんとも軽量級の響きだが、この軽さこそ副大統領の地位の表れか。副題は「権力への階段」だが、実際に上った者は数えるほど。現に現職の副大統領から選挙で大統領になった例は20世紀中でひとり。現大統領バイデンもヒラリー・クリントンにいったん座を譲ったあとの復活劇だった。
 そんな副大統領職に焦点を当てた本書は、軽妙な筆致で現代の米政界を描く。
 海軍天文台という珍しい場所を公邸とする副大統領の暮らしや「セカンドレディー」が仕切る政界社交話などを前半にちりばめ、後半ではアイゼンハワーとニクソン、レーガンとブッシュ、ビル・クリントンとゴアら歴代コンビの関係に迫る。原著は3年前だからトランプ政権のさなか。当時のペンス副大統領の「野心」を巧みに描いた読み物としても面白い。人物の「行動」に焦点を当てる米国型ノンフィクションの好例。