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寿木けいさん「私の一品」 ふるさとの味「なすびのよごし」シンプルでダイナミック、熱々の白いご飯にのせて

『土を編む日々』(集英社)より=砺波周平 撮影

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寿木けいさん「土を編む日々」インタビュー 140字レシピで毎日発信する「料理は五感のマッサージ」

ふるさとの味「なすびのよごし」

材料(作りやすい分量)

・茄子 5本
・油  大さじ1くらい
・味噌 大さじ1くらい

作り方

1. 茄子はヘタを取って縦半分に切ってから、厚さ2〜3ミリの半月切りにする。その間に鍋に湯を少し、沸いたら茄子を入れる。

2. 3分ほどゆで、皮のふちがうぐいす色に透き通ってきたら、ざるにあげて自然に冷ます。

3. 手で握れるくらいまで冷めたら水分を絞る。あまりきつく絞りすぎず、少ししっとり重みを残す。

4. フライパンに油を熱して茄子を加え、油が全体になじんで、かさが3分の2程度になるまで炒める。

5. 火を止めてから味噌を加え、余熱で丁寧に混ぜ合わせる。

出典:『土を編む日々』(集英社)

寿木けいさんひとこと

 私もこれを食べて育ったんですよね。本で紹介するにあたって何度も試作したんですが、やっぱり美味しいなと改めて思いましたし、派手な料理ではないんですけど、茄子の魅力をしっかりと引き出していて、すごい発明だなと深く思うところがありました。子どもたちも大好きなんですよね。私も母や祖母から引き継いだレシピなので、子どもたちにも覚えていてほしい味です。

 ポイントは、一度にたくさん作ること。たくさん作った方がなぜか美味しいんですよ。茄子から水分が出てかさが減ってしまうというのもありますし、真夏に大量の茄子を刻んで汗をかきながら大鍋で茹でるといった料理のダイナミズムも含めて味わってほしいんです。頭だけで考えるよりも、せっせと体を動かして汗をかいて作るとより美味しくなるタイプのおかずなんですよね。調味料は味噌しか使わないので、自分で作った味噌や美味しいと思う味噌を使ってもらうと、より美味しくなると思います。

 熱々の白いご飯に、作り置いた冷たい「なすびのよごし」をのせて食べるのが私の好きな食べ方。ちょっとだけ小皿に盛って日本酒の肴にするというのも乙でおすすめです。

(構成:岩本恵美)

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