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現代短歌大賞・現代歌人協会賞、授賞式 大賞の外塚さん「自分のペースで詠み続けたい」

(右から)外塚喬さん、川野芽生さん、北山あさひさん。撮影時のみマスクを外した=現代歌人協会提供

 現代短歌大賞と現代歌人協会賞(いずれも現代歌人協会主催)の授賞式が昨年12月下旬、東京都内で開かれ、大賞に選ばれた外塚喬(とのつかたかし)さん(77)らが喜びを語った。

 前年10月からの1年間に刊行された歌集などから最も優れた著作を選ぶ現代短歌大賞は、外塚さんの第13歌集『鳴禽(めいきん)』(本阿弥書店)並びに過去の全業績に贈られた。外塚さんは受賞のあいさつで、師事した木俣修からかけられた言葉を紹介。「『ちゃんとした生活をしないと、いい歌はできないよ』とそれだけを言われた。あとは自分で勉強しなさいと自由にさせていただいて、好きなように歌を作ってきた。今後も自分のペースで歌を詠み続けていきたい」

 前年度刊行の新人歌集を対象とする現代歌人協会賞は、川野芽生(めぐみ)さん(30)の歌集『Lilith』(書肆侃侃房)と北山あさひさん(39)の歌集『崖にて』(現代短歌社)に贈られた。

 川野さんは受賞スピーチで、ここ数年「自分の歌は美しすぎるのではないかと思い始めた」と切り出した。「人間は美しさを愛(め)でることで対象に権力を振るい、支配してきた。美を求めることの罪深さを、葛藤を、見つめ続けなくては次に行けない」と語った。

 北山さんは「誰にも忘れ去られたような、荒涼とした景色に惹(ひ)かれている。そこに、私にしか詠めないものがある。そういう予感があります」と言い、「一人で立ち尽くしていた『崖』を下りて、もっと『北』を目指す冒険に出ようと思う」と決意を述べた。(佐々波幸子)=朝日新聞2022年1月26日掲載