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「JK、インドで常識ぶっ壊される」書評 混沌の中に希望を探る

評者: 須藤靖 / 朝⽇新聞掲載:2022年02月19日
JK、インドで常識ぶっ壊される 著者:熊谷 はるか 出版社:河出書房新社 ジャンル:紀行・旅行記

ISBN: 9784309030166
発売⽇: 2021/12/27
サイズ: 19cm/221p

「JK、インドで常識ぶっ壊される」 [著]熊谷はるか

 いまだインドを訪れたことはない私ですら、その文化のディープさは予想に難くない。父親の赴任のため、突然インドで暮らすことになったJKの著者。本当に生き延びていけるのか?
 ターバン巻きおじさんは全人口の1%以下のレアキャラ。招待されても2時間は遅れてお邪魔すべきゆるーい時間感覚。日本人駐在員は車の運転を禁止されているほど危険な道路事情。でも、本書は著者が経験したそんな単なるトリビア集にはとどまらない。
 週に1回、インターナショナルスクールのクラブ活動でスラムに出かけ子供たちと交流し始めた著者。家に水道がない。125人当たり一つのトイレすら極めて非衛生。ドラッグとも隣り合わせ。そんな世界を目の当たりにしながら、混沌(こんとん)の中に希望を模索する。
 日本の常識は世界の常識ではない。それを実感する異文化交流こそ日本と世界の未来のために不可欠だ。JK、もとい、若者には無限の可能性が広がっている。