1. HOME
  2. トピック
  3. 「江藤淳全集」、電子版で刊行

「江藤淳全集」、電子版で刊行

 戦後を代表する文芸評論家、江藤淳(1932~99)の膨大な著作群に新たな光をあてる『江藤淳全集』(電子書籍版、boid)の刊行が始まった。

 初回は3冊同時刊行。第1巻『奴隷の思想を排す』は20代前半に執筆した批評集で、戦後日本への鋭い視点が読み取れる。第2巻『日米戦争は終わっていない』は生涯を通じて問題提起し続けた「戦後批判」について語りおろした文章。第3巻『犬と私』は愛犬家だった江藤の随筆の妙味を楽しめる。以降、8月から2巻ずつ、まずは30巻程度の刊行を予定している。

 作品選択など責任編集者は評伝『江藤淳は甦(よみが)える』の平山周吉さん。すでに電子版で読める主著はあえてはずし、江藤のラジカルな批評精神が伝わる作品を選んだ。編集担当の風元正さんは「とんでもなく頭の切れた江藤さんの思考は今だからこそわかるものも多い。電子版で若い世代にも魅力が伝われば」と話す。

  購入はアマゾン内のキンドルストアで。各巻1200円、読み放題サービスにも対応している。(野波健祐)=朝日新聞2022年7月27日掲載