【宮城】小説「荒地の家族」で芥川賞を得た佐藤厚志さん(40)が23日朝、受賞後初めて勤め先の丸善仙台アエル店(仙台市青葉区)に出勤した。祝福する同僚たちを前に「また新たな気持ちで、一冊でも多く本を手に取ってもらえるよう努めたい」とあいさつした。
午前8時に黒いエプロン姿で店内に出て、入荷した雑誌を整理したり、棚に並べたり。開店前の朝礼で「おかえりなさい。おめでとう」と同僚たちから声をかけられ、くす玉割り。拍手で受賞をたたえられた。
「荒地の家族」は19日の発表直後に店で確保していた約200冊が売り切れ、次回の入荷は今月中の予定。現時点で同店では過去最多となる約400件の予約が入っており、ほとんどが佐藤さんのサイン入りを求めているという。
開店前に取材に応じた佐藤さんは、今後について「少し執筆に重きを置く生活になる」としつつ、「書店の仕事をこなすことで、書くことにもいい影響がある」と話し、書店員として勤め続ける考えだ。
(三井新)朝日新聞デジタル2023年01月24日掲載