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芥川賞「荒地の家族」の舞台・宮城県亘理町、佐藤厚志さんに特別賞

表彰後に記念写真に納まる芥川賞作家の佐藤厚志さん(中央)=2023年2月11日、宮城県亘理町、三井新撮影

 東日本大震災の津波で仕事道具を失った造園業の男性や家族の暮らしを描いた小説「荒地(あれち)の家族」で芥川賞を受賞した仙台市在住の書店員、佐藤厚志さん(41)が11日、受賞作の舞台となった宮城県亘理町から特別賞を授与された。

 佐藤さんはこの日、町中央公民館であった式典に出席。同町では初めてとなる特別賞が贈られた。

 山田周伸町長は「震災の記憶と教訓を後世に伝えるとともに、未来へ一歩を踏み出す勇気を与えてくれる作品だ」と述べ、表彰状とトロフィーを手渡した。

 佐藤さんは「すごくうれしく、光栄に思う。これからも亘理町を舞台にした作品を書いていきたい」とあいさつした。式典後、「荒地の家族」の単行本を持参した人にサインを求められ、応じる場面もあった。

 佐藤さんによると、町にはかつて祖父が住んでいて、今も墓参りで訪れているという。報道陣の取材に今後の亘理町について、「長い時間軸で自分の中の風景も、実際の風景も変わってくると思う。引き続き、どういう風に書けるかを考えていきたい」と話した。

(三井新)朝日新聞デジタル2023年02月12日掲載

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