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磯達雄〈文〉山田新治郎〈写真〉「日本のブルータリズム建築」 打ち放しコンクリートによる豪快さが愛しい

臼杵市中央公民館(1979年、大分県臼杵市、日建設計) 写真はいずれも山田新治郎氏

 「ブルータル(野蛮な、荒々しい)」なる言葉を冠するブルータリズム建築とは、多くは粗い打ち放しコンクリートによる豪快な建築を指す。1950~60年代に欧米で多く建てられ、世界中に広がったという。日本では、ひさしがそり上がるような東京・上野の東京文化会館(61年、前川國男〈くにお〉設計)あたりが代表格だろう。
 だが載っているのは、前川や丹下健三、菊竹清訓(きよのり)ら有名建築家の作品ではない。日本での広がりを知ってもらうためか、必ずしも有名とはいえない建築家や組織事務所による、地方の建築を集めた感がある。

蒲郡市民体育館(1968年、愛知県蒲郡市、石本建築事務所)

日生町役場(現・備前市日生総合支所、1960年、岡山県備前市、K構造研究所大阪事務所〈山本久〉)

 それでも、いや、それゆえ魅力は十分。日建設計による鋭角的なフォルムの臼杵市中央公民館(79年)をはじめ、屋根を引っ張るための斜めの柱が力強く並ぶ蒲郡市民体育館(68年)や折り紙のような屋根の日生(ひなせ)町役場(60年)など、力の伝わり方や機能が一目瞭然。どこかすがすがしく、未来的でかっこいい。こんな建物を造れた時代の余裕も思う。退屈な箱形建築に堕しがちなモダニズム建築にあって、愛着すら抱かせるもう一つのモダニズムといえる。=朝日新聞2023年6月3日掲載