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研究の最前線を紹介する「カブトムシの謎をとく」 佐藤健太郎が選ぶ新書2点 

『カブトムシの謎をとく』

 子供たちの人気ナンバーワンの昆虫といえば、今も昔も変わらずカブトムシだろう。しかしこれほどメジャーな虫でありながら、実はその研究は進んでいない。小島渉『カブトムシの謎をとく』(ちくまプリマー新書・968円)は、昆虫研究者がカブトムシ研究の最前線を綴(つづ)った一冊。カブトムシを捕食する意外な生物、カブトムシの大きさはどう決まるか、そもそもカブトムシは日本に何種類いるのかなどなど、基本的なところで未解明の部分が多いことに驚く。そして研究とは何をすることなのか、また研究の魅力についてもたっぷりと語られている。この道に興味がある人たちに一読をおすすめしたい。
★小島渉著 ちくまプリマー新書・968円

『はじめての人類学』

 一方、奥野克巳『はじめての人類学』(講談社現代新書・990円)は、幅広く全体像のつかみづらい「人類学」についての入門書。フィールドワークという手法の創始者マリノフスキ、構造主義の祖でもあるレヴィ=ストロース、「生のあり方」に正面から取り組んだボアズ、人間を「生物社会的存在」と捉えたインゴルドという4人の巨人にスポットを当て、その生涯をたどることで、人類学の発展と変遷を描き出してゆく。「人間とは何か」という巨大なテーマに挑み、他のジャンルに影響を受け、また与えながら発展してきた人類学の歩みがよくわかる。
★奥野克巳著 講談社現代新書・990円=朝日新聞2023年9月2日掲載