天文雑誌「月刊星ナビ」の8月号の特集は「スマホで撮る天体&星景写真」。本当にスマホで撮れるの?と気になって手にとった。
望遠鏡の接眼部にスマホをくっつけて撮影する方法と、手持ちや三脚を使って手軽に撮る方法が載っていて、気になったのはもちろん後者。100円ショップの三脚を使って、夜景モードで撮れるようだ。さすがに一眼レフカメラの画質には及ばないが、天の川がばっちり写ったシャープな写真が撮れていた。これなら自分もできるかも。
星や宇宙は、普段はほとんど気にしていないが、ときどきふっと気になるときがある。忙しい暮らしのなかで、何かの拍子に夜空を見上げて理由もなくホッとしたり、まれに自然の中で街では見られないほどの無数の星を見て感動したりする。
思えば子どもの頃は、今よりもっと宇宙に関心を持っていた。土星の環(わ)や木星の大赤斑、アンドロメダや馬頭星雲の写真を見て興奮した記憶がある。それがいつの間にか遠ざかってしまった。近年は惑星探査機の活躍や、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げなどもあって、宇宙についての知見もどんどん塗り替えられている。ビッグバン仮説の見直し、地球外生命の探索など、気になる話題も少なくない。関心を持たないのはもったいない気がする。
ちなみに、本誌は身近な天体観測に軸足を置いているようで、夏の星空の紹介や、月と惑星の動きなどが詳しく書かれている。それによると、12日深夜からペルセウス座流星群が極大になるというから、忘れずに見てみたい。
星や宇宙に関わる仕事がしたい人たち向けイベントのレポート記事も載っていた。夢のある世界だから関わりたいけど、ハードルが高そうとあきらめている人がいたら、参加してみてもいいかも。
さらに読者投稿に載っていたダイオウイカ星雲の写真には目を見張った。そんな星雲があったとは。
本誌をめくっていると、浮世のことなどすぐに忘れられる。宇宙のパワーは偉大だ。=朝日新聞2024年8月3日掲載