1. HOME
  2. コラム
  3. 今、注目の絵本! 「絵本ナビプラチナブック」
  4. 絵本ナビ編集長おすすめの新刊絵本10冊は…? 「NEXTプラチナブック」(2024年8月選定)

絵本ナビ編集長おすすめの新刊絵本10冊は…? 「NEXTプラチナブック」(2024年8月選定)

【この記事で紹介する絵本】

通る道は同じだけれど……『うみへ やまへ』

『うみへ やまへ』(作:三浦太郎 / 偕成社)

朝早く白い車に乗って、「ぼく」の家族は山の家を出発します。山のふもとの牧場を過ぎ、田んぼの一本道を通り、高速道路、工場の前を過ぎると、大きな橋が見えてきます。さあ、お父さんの言っていた白い灯台が見えてきて……。最後まで読んで、もう一度後ろからめくっていくと、今度は小さな赤い車にのって「わたし」の家族は、海から山へ出発します。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

前からとうしろから、ふたつのお話が楽しめるこの絵本。最初は山から海へ。のんびりした風景から窮屈な都会を抜け、ふたたび解放感あふれる海の景色へ。二つ目のお話は、海から山へ。気持ちのいい風景から何だか暗くて疲れる道路を抜け、今度は懐かしいようなのんびりした山の景色へ。しばらく過ごせば、二つの家族は再びもと来た道を引き返すのでしょうか。こんな風に、私たちの人生は、案外同じ道を行ったり来たりするものです。そのたびに違う景色に見えるとしたら、なんて豊かなことでしょう。

>絵本ナビの記事を読む

心がソワソワ。『ミスター・ソフティークリーミー まちをゆく』

『ミスター・ソフティークリーミー まちをゆく』(作:くりはらたかし/ 佼成出版社)

ミスター・ソフティークリーミーは、自慢のステッキを片手にてくてく街を歩くのが日課です。けれど、夏は暑いのです。なにしろ日にあたると溶けちゃいますからね、気を抜いてはいけません。さらに街のいたるところにいる妖怪がいて……。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

なぜソフトクリームが外へ散歩に出るの? そんな疑問も吹きとんでしまうほど、とにかく明るいミスター・ソフティークリーミー。天敵ヒトクチチョーダイヨンは恐ろしいはずなのに、その姿はものすごく可笑しい。危機一髪を助けてくれる影の規模の大きさに驚いていると、彼の小さな可愛いおうちに思わずにんまり。ところがどうやら「いつかそのとき」が間近に迫っていると知り……。読んでいる間中、なんだか心がソワソワしっぱなし。すみからすみまで「ソフトクリーム感」満載のクセになる一冊です。

>絵本ナビの記事を読む

うまれたてのたまごは温かい! 『たいせつなたまご』

『たいせつなたまご』(作:キッチンミノル / 白泉社)

「コーコッコッコッコ~」にわとりたちは、朝からとってもおしゃべり。健康チェック、エサやり、水やり、ふんのそうじ、道具のそうじ、それぞれの担当スタッフが丁寧に仕事をする中で、にわとりたちは小さな部屋に集まり、たまごが産み落とされます。しゃしん絵本作家キッチンミノルさんが、「ハコニワファーム」に泊り込みで取材し、生き生きとした写真で迫ったドキュメンタリー絵本。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

毎日の食卓に当たり前のように登場するたまご。そのたまごについて知っていることはどのくらいあるだろう。1羽のにわとりは、1日にたった1個しかたまごを産まないということ。産む瞬間ににわとりの体が丸くふくらむこと。うまれたてのたまごは温かいということ。キッチンミノルさんが肌で直接感じた感動を、そのまま写真という形で見せてくれるこの絵本を読んでいると、私たちがただ「知っているつもり」になっていたんだ、ということに気づかせてくれるようです。

>絵本ナビの記事を読む

この子はいったい……? 『まいごでござる』

『まいごでござる』(作:荒戸 里也子 / BL出版)

こたろうが道ばたで見つけたこの子は、どうやら迷子。白くてふさふさしていて、ふわふわと浮いているから「しろふさちゃん」と呼ぶことに。こたろうはしろふさちゃんを連れ、町の人たちに聞いてみることにします。ところがみんなが違うことを言い……。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

正体不明なしろふさちゃん。そのミステリアスな雰囲気と江戸の街並みがなぜかしっくり、ぴったり。迫力たっぷりの雷様や豪華絢爛なおひめさまの姿も魅力的。それでも、終わってみれば心あたたまる、明るく楽しいストーリー。そんな懐かしくて新しいファンタジーの世界を味わってみてくださいね。

>絵本ナビの記事を読む

ぎざぎざ、きらりん、ぐーるぐる! 『ぐるぐるさん』

『ぐるぐるさん』(作:ひらぎ みつえ / ほるぷ出版)

まんなかに可愛いお顔。でも、この丸い形はいったいなんでしょう? 横についているしかけを指でぐるぐるとまわしてみると……絵が広がって見えたり、形が変化したり、もようが消えたり!? 思わず目がまわりそうになるくらい、楽しくて不思議な赤ちゃんから楽しめるしかけ絵本。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

赤ちゃんにとって、絵本は「好奇心」そのもの。目の前にあらわれる色や形を追い、言葉の響きを聞き、触りたくなる部分に手を伸ばし、変化に対して驚き、喜ぶ。『ぐるぐるさん』は、そんな大切な要素を絵本にぎゅっと詰めこみながら、年齢に関係なくストレートに感覚を刺激してきます。「ああ、私もまわしてみたい」「もう一度触りたい」「しかけは一体どうなってるの?」はやる気持ちを抑えつつ、子どもたちと仲良く順番に遊んでくださいね。

>絵本ナビの記事を読む

こわい? かわいい? 『くらくて ふかい もりの おく』

『くらくて ふかい もりの おく』(作・絵:デルフィーヌ・ブルネ 訳:ふしみ みさを / ひさかたチャイルド)

暗くて深い森の奥、いくつもの目がギラリとあいて、ガチガチと牙がぶつかる音がする。これから何が起こるんだろうかとドキドキしていると、飛んできたのは、オオカミのママ!そのまま可愛い親子のやりとりが展開されていき……。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

見るからに怖そうな表紙の絵。さらに「ギラリ」「ガチガチ」など緊張感をあおるような響きの言葉。この雰囲気が子どもたちの好奇心をきゅっと引きつけてしまうのです。すると、急に登場するいつものママの叱り声に安堵し、そのまま大好きな「きらきらぼし」の歌を聞きながらトロンとしてしまう。子どもたちをあっという間に眠りの世界へ連れていく見事な緩急が魅力的なこの絵本。でも最後に油断していると……!? さあ、もう一回最初からね。

>絵本ナビの記事を読む

きみはどうするの? 『ぼくのひみつのともだち』

『ぼくのひみつのともだち』(作:フレヤ・ブラックウッド 文:椎名 かおる / あすなろ書房)

都会の街なかにある、だれも知らない小さな森。そこにゾウがいることを知っているのは少年だけ。手で触れ、話しかけ、一緒に遊ぶ。ところがある日、この場所がとうとう売りに出されることに。森が伐採される日の早朝、信じられない奇跡が起き……。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

添えられている言葉は必要最低限。けれど絵が多くの物語を伝えてくれます。学校へ向かう少年の姿、帰ってきた時の家の中の様子、森へと差し込む日差しの量など、そこに漂う感情や空気感、かけがえのない日常までもが見えてくるようです。この奇跡の光景はいったい何を意味しているのでしょう。すぐに答えを導きだすのではなく、さまざまな場面や表情にじっくりと思いを巡らせていく。そんな時間もまた絵本の楽しみ方の一つですよね。

>絵本ナビの記事を読む

知ろうとしなかったその先に。『ひとのなみだ』

『ひとのなみだ』(作:内田 麟太郎 絵:nakaban / 童心社)

大統領が叫び、今まさに戦争が始まろうとしている。その様子が街にうつし出される。けれど「ぼく」は戦争に行かない。行くのは、ロボットの兵隊だ。そんな世界でぼくたちは安心して暮らしているはずだった。ところが……。非戦と平和への願いを込めて、詩人・内田麟太郎さんが描く近未来。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

何が起きても、それはテレビの向こうの出来事だと思ってしまう感覚。本当は知っていながら、知ろうとしない姿勢。大勢の意見から仲間外れになりたくないという意識。同時代に生きる私たちの胸にちくちくと刺さってくるこれらの言葉。その先に見える世界がとても怖い。同じ方向に流されていってしまうのだろうか。けれど人としての涙を流しながら、やはり平和を願い続けなければと思うのです。

>絵本ナビの記事を読む

愛おしさとかけがえのなさに満ち溢れる世界。『よかったなあ』

『よかったなあ』(作:まど みちお / 理論社)

画面いっぱい、生き生きと豊かに存在している草や木。目のさめるような鮮やかさで生い茂る葉っぱ。そして、誰もかれもがため息をつくような美しさで咲きほこる花。それらすべてに対して、詩人まど・みちおさんがなげかける言葉は「よかったなあ」……。没後10年を記念して刊行が続く「まど・みちおの絵本」シリーズの一冊として誕生した絵本。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

私たちが生活する中で、すぐそばにあるもの、いてくれるもの、あたりまえだと思っている「もの」や「こと」って何だろう。朝起きた時に挨拶をする相手かもしれないし、ご飯を食べることかもしれない。何気ない友達との会話や窓から見える景色なのかもしれない。ふと思い出した時に「よかったなあ」とつぶやいてみる。それだけで、なんだか今日もいい一日が過ごせるような気がしてくるのです。

>絵本ナビの記事を読む

その頬の色から伝わってくるのは…『うつくしいってなに?』

『うつくしいってなに?』(作:最果 タヒ 絵:荒井 良二 / 小学館)

夕焼けに染まる空、その下に広がる青い海。それらが窓から見ている女の子の瞳に映りこみ、頬を紅潮させる。やがて夜が後ろから回り込むようにやってきて、無限の星を輝かせながら、見慣れた家具やおもちゃ、ネコや好きな景色と一緒に、女の子を心地よい眠りの世界へと連れていく。「うつくしいって なに?」詩人最果タヒさんと絵本作家荒井良二さんが紡ぐ、夢のような物語。

>みどころの全文はこちら

編集長のおすすめポイント

冒頭に登場するのは、美しいと思う景色を見つめている女の子の表情。言葉を発するでもなく、驚くでもなく、ただまっすぐに前を見ている。けれど、その瞳の輝きや頬の色から微かに心の中の高揚が伝わってくる。ああ、なんて豊かな光景だろうと思う。彼女の心の中にはどんな宇宙が生まれ、どんな音が奏でられているのだろうと思う。気がつけばあっという間に過ぎ去っていってしまうであろう、子どもたちが体験する慎ましくもかけがえのない大切な時間。最果タヒさんと荒井良二さんのお二人がすくいとってくれるのです。

>絵本ナビの記事を読む

絵本ナビ編集長がおすすめする「NEXTプラチナブック10選」はいかがでしたでしょうか。対象年齢も、あつかっているテーマもさまざま。気になった絵本があったら、ぜひ手にとってみてくださいね。絵本ナビ「プラチナブック」連載ページへ

【好書好日の記事から】
絵本ナビ編集長・磯崎園子さん「はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで」インタビュー 絵本と年齢の関係とは?