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2024年の出版市場規模、3年連続前年割れ 電子コミックのシェアは5年で倍増

 出版科学研究所は、2024年の出版市場規模(紙と電子の合計)が前年比1.5%減の1兆5716億円だったと発表した。3年連続の前年割れとなる。電子出版のシェアは36%と、電子出版の統計開始以来10年連続で拡大した。

 同研究所によると、書籍と雑誌を合わせた紙の出版物の推定販売金額は同5.2%減の1兆56億円。かろうじて1兆円を上回った。

 書籍の店頭売り上げは前年比1%増。文芸書は背筋さんや宮島未奈さんの作品のヒットで2%増だった。原正昭所長は、「数字上は店頭売り上げは回復傾向にあるものの、書店数自体の減少にも要因があり、書店をめぐる状況が改善しているとは言いがたい」という。24年12月期の書店店舗数は1万568と前年同月より524減った。

 紙の書籍の推定販売金額は同4.2%減の5937億円と6千億円を割った。推定販売部数は同5.5%減の4億3870万冊。これを日本の総人口で割った1人当たりの購入冊数は3.5冊で、前年の3.7冊から0.2冊減少した。物価高で原価、輸送料、人件費など様々なコストが上がるなか、新刊平均価格は同2.1%増の1332円だった。

 紙の雑誌の推定販売金額は、同6.8%減の4119億円で、月刊誌は同6.3%減、週刊誌は同9.3%減となった。休刊雑誌数は89点と、前年を25点上回った。

 電子出版市場は同5.8%増の5660億円。そのうち電子コミックのシェアは90.5%の5122億円とコロナ禍前の19年から5年間で倍増した。1巻ごとから1話ごとの販売が可能になったことなど、電子ならではの様々な施策で既刊の掘り起こしに成功しているという。原所長は「マンガ読者のデジタルシフトが進行している」とみる。(真田香菜子)=朝日新聞2025年2月5日掲載