
人類はどのように進化し、「人間らしさ」をどう形作ってきたのか。女性の化石を軸に解き明かす「カラー図鑑 フェミナ・サピエンス全史 人類の進化と女性の祖先」日本語版が西村書店から出た。
科学者は「知らず知らずのうちに男の進化について考えていた/この分野の科学者のほとんどが男性だった」と監修者の篠田謙一・国立科学博物館長は序文に記す。そんな問題意識から生まれた本だ。
まず登場するのは「アルディ」。骨格の大部分がそろった形で見つかった最古の化石で、約440万年前のアフリカで生きていた。木の上で主に過ごし、直立して歩くこともできた。続く「ルーシー」は約320万年前、サバンナの林を歩いていた女性で、食生活は意外と豊か――。
現代のホモ・サピエンスへとつながる旅路が、スペインのマルタ・ユストスの文(網野真木子訳)とディエゴ・ロドリゲス・ロブレドの陽気でカラフルな絵で親しみやすく物語られる。もっと知りたくなる、そして「人間とは」と考えてみたくなる、進化の入門書だ。(藤崎昭子)=朝日新聞2025年6月28日掲載
