映画「国宝」の興行収入が173.7億円を記録し、邦画の実写作品の歴代最高興収を22年ぶりに更新した。配給する東宝が25日、発表した。これまでの最高興収は2003年の「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の173.5億円だった。
「国宝」は吉田修一さんが朝日新聞で連載した同名小説が原作で、李相日(りさんいる)さんが監督した。任俠(にんきょう)の一門に生まれながら女形の歌舞伎役者になった喜久雄(吉沢亮さん)が、歌舞伎の名門の御曹司である俊介(横浜流星さん)と切磋琢磨し、人間国宝になるまでの一代記を描く。
6月6日に公開された直後の週末の観客動員数は3位にとどまったが、その後4週連続で週末の興収が前週を上回った。21週連続で観客動員数がトップ10入りするなど、ロングランで興収を伸ばし続けた。今月24日までの公開172日間で、1231万人を動員している。
映画興行に詳しい映画ジャーナリストの大高宏雄さんは「通常、興収は公開直後から減少の一途をたどる。『国宝』の公開直後の週末興収は約3.4億円だったが、同程度の数字の映画は興収20億円ほどで収束することがほとんどだ。SNSで口コミが爆発的な速さで広まったことが、異例の大ヒットの一因だ」と話した。
(平岡春人)朝日新聞デジタル2025年11月25日掲載