日本出身者で初めて米国歴史学会の会長に選ばれ、思想や文化などの影響力を踏まえながら独自の視点で国際関係史を研究した米ハーバード大学名誉教授で国際政治学者の入江昭(いりえ・あきら)さんが27日に死去した。関係者への取材で分かった。91歳だった。
1966年の著作「日本の外交」はロングセラーとなり、いまも学生から外交官まで幅広く読まれている。
34年、東京生まれ。父は旧同盟通信社でパリ特派員を務め、後に成蹊大教授となった入江啓四郎。高校卒業後の53年、米国の元駐日大使が拠出したグルー基金で米ペンシルベニア州のハバフォード大学に留学、ハーバード大学大学院で米国と東アジアの関係史を専攻した。61年にハーバード大学で博士号を取得し、同大講師に。以後、米国の大学で研究と教育を続け、シカゴ大学教授などを経てハーバード大学教授を務めた。
78年に米国の外交史学会会長、82年に芸術科学アカデミー会員、88年に歴史学会会長など米国学界の中央で活躍する一方、日本の学界や論壇とも関係を保ち、論文「平和的発展主義と日本」で70年度の吉野作造賞を受賞した。
英語と日本語で数多くの論文・著書を残した。早くからイメージや思想を方法論にし、文化にも視野を広げる中で、著書「権力政治を超えて」では「文化交流が平和の基礎」という信念を「文化国際主義」と名付けた。また、一国中心ではなく国境を越えた視点で歴史を見ることを提唱。国際的な非政府団体(NGO)に焦点をあて戦後史を見直した著作「グローバル・コミュニティ」で具体化させた。他の著書に「米中関係のイメージ」「二十世紀の戦争と平和」「歴史を学ぶということ」など。
朝日新聞社主催の大佛次郎論壇賞の選考委員を2001~07年度まで務め、文化面で01~05年にリレーエッセー「思潮21」を連載した。09~10年には客員編集委員として連載「検証・昭和報道」を監修した。
朝日新聞デジタル2026年01月29日掲載