「ローザ・パークスの反抗的な人生」書評 今に続く社会的不正義との闘い
ISBN: 9784409511220
発売⽇: 2026/05/27
サイズ: 13.2×18.8cm/480p
「ローザ・パークスの反抗的な人生」 [著]ジーン・セオハリス
1955年、バスの中で白人に席を譲ることを拒否し逮捕されたローザ・パークス。公民権運動を大きく前進させ、本書の言うとおり20世紀で最も広く知られたアメリカ人女性かもしれない。
13年に深南部(ディープ・サウス)のアラバマ州で生まれた。レイプ、暴力、無実での逮捕……人種差別の惨状は目を背けたくなるほどひどかった。選挙や政治に関心が深かったが、投票するには有権者登録が必要だ。彼女は3回の挑戦(!)で登録できたが、51年でも黒人有権者の登録は3.7%だった。
逮捕時のバス運転手とは因縁があった。彼女は尊厳を守り、不快な思いを避けるためその運転手を12年間避けていた。「黒人用」トイレを使うのを拒否、「白人用」水飲み場から水を飲み、人種隔離にも何度も個人的行動を起こしてきた。そして「その日」が来た。
だが彼女の物語は「無知で疲れたお針子」が偶発的に拒否したと神話化され、彼女の戦闘性が軽視されてイメージが独り歩きしていく。同時期に活躍したマーティン・ルーサー・キングなどに比べ彼女が正当な評価を受けていないのは、運動に「男性中心主義」があったと指摘する人もいる。
やがて勲章を受け、バスの一件の場所には博物館ができた。彼女が亡くなった時には称賛が押し寄せたが、著者の慧眼(けいがん)はその裏を見抜く。パークスを彼女の闘争の人生から切り離して称賛し、運動を偶発的な行為に矮小(わいしょう)化した、と。この運動を過去のものとすることで彼女の社会的不正義への怒りを見落とす。パークス自身が言っている。「運動は終わったなどと言わないでください」
実際、原書出版後にブラック・ライブズ・マター運動が盛り上がり、反DEI(多様性・公平性・包摂性)の嵐が吹き荒れ、有権者登録の壁が高くなっている。闘いは逮捕の前からあり、今に続く。ずしりと分厚く、読むのに骨が折れるが、今こそ手に取るべき一冊。
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Jeanne Theoharis 米ニューヨーク市立大卓越教授。20世紀のアメリカ黒人史、都市史、人種政治などが専門。
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坂下史子訳