ジェーン・スー「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」書評 汝の内なる少女性と和解せよ
評者: 水無田気流
/ 朝⽇新聞掲載:2014年09月07日
貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 女は生涯、いち女子である−が、ハッと気付けばいま何歳!?
著者:ジェーン・スー
出版社:幻冬舎
ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション
ISBN: 9784344026049
発売⽇:
サイズ: 19cm/254p
貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 [著]ジェーン・スー
「女子」の単語がメディアを賑(にぎ)わすようになって久しい。この現象、男性からは冷ややかな視線を送られ、当の女性の間では賛否両論。若さや可愛らしさに固執する女は見苦しいと断罪する同性も多い。だが、著者はあえて語る。女たちよ、汝(なんじ)自らの内なる少女性と和解せよ、と。なぜなら、「私たちは生涯、女子の墨を背負って生きていく」しかないのだから。放置すれば、ゴジラのごとき「巨大な女児」と化し、周囲も当人も苦しめかねない!?
繰り出されるのは、テンポの良い説法のジャブ、そしてときにクリーンヒット。四十路を超えて初めて見えてきた物は、自らも無意識のうちに呪縛されてきた「普通」イデオロギーの恐ろしさだ。それらをえぐるように掬(すく)い上げ、場外へかっ飛ばす筆力は爽快。単なる女子論でも、ましてや女の生き方指南書でもないのだが、読み進むうち、笑いながら不思議と背筋が伸びていく。身をゆだねるのが心地いい、音楽のようなエッセー。
◇
幻冬舎・1404円