作家・井上ひさし、評論家・松山巖、ノンフィクション作家・井田真木子が、毎月3冊ずつ本を選び、しゃべり合う。1995年から2年間、文芸春秋のPR誌「本の話」で続いた鼎談(ていだん)が本になった。『三人よれば楽しい読書』(西田書店・1728円)。
登場するのは、立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』、又吉栄喜『豚の報い』、山口政五郎『鳶頭(かしら)政五郎覚書 とんびの独言(ひとりごと)』など72冊。3人のかけ合いがいい。
殺人犯とその一族を描いたマイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』。「これはノンフィクションではなく、物語だと思いますが、文学はこれだけ大きな物語に拮抗(きっこう)できるかな」(松山)、「大きな物語の繰り返しがあり、さらに一つの物語が別の物語を超克していくという輻輳(ふくそう)がある」(井田)との言葉をうけ、井上はいう。「二十世紀のドストエフスキー的作品です。なによりも強調したいのは、この本が物語の書き手、読み手を究極のところで励ましている」「僕も小説が、物語が書きたくなってきました。本当に読んでよかった」
(石田祐樹)=朝日新聞2018年5月5日掲載
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