「ホワット・イフ?―野球のボールを光速で投げたらどうなるか」書評 奇抜な質問、科学の面白さ破格
評者: 佐倉統
/ 朝⽇新聞掲載:2015年08月16日
ホワット・イフ? 野球のボールを光速で投げたらどうなるか
著者:ランドール・マンロー
出版社:早川書房
ジャンル:自然科学・環境
ISBN: 9784152095459
発売⽇: 2015/06/24
サイズ: 19cm/383p
ホワット・イフ?―野球のボールを光速で投げたらどうなるか [著]ランドール・マンロー
こういう小ネタ集は面白くても書評しにくいんだよなあ、と思いながら読み始めたら、なんとまあ、その面白さの破格であることよ! これを紹介しないのは罪であると確信した。著者のウェブサイトに寄せられた、さまざまな科学的質問への回答をまとめたものである。翻訳も絶好調。
面白さの秘訣(ひけつ)は、著者のユーモアのセンスと、読者から寄せられた問いの奇抜さにある。たとえば、世界中のレーザーポインターで月を照らしたら明るさはどうなるかとか、ヨーダの力(フォース)はどれくらいの強さかとか、どれくらいの高さから肉を落とせばステーキが焼けるかとか。
質問を広く集めることや、何事にもユーモアをもって軽く対処するっていうのは、ネットのメリットを最大限に活(い)かすコツかもしれない——などとシチメンドクサイことは考えずに、素直に笑いながら読むが吉。ついでに元のサイトと著者のTEDトークも見れば、英語の練習もできて夏休みの宿題もバッチリだ。
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吉田三知世訳、早川書房・1620円