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上野千鶴子「女たちのサバイバル作戦」書評 ネオリベは女性に何をもたらしたか

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2013年10月13日
女たちのサバイバル作戦 (文春新書) 著者:上野 千鶴子 出版社:文藝春秋 ジャンル:新書・選書・ブックレット

ISBN: 9784166609338
発売⽇:
サイズ: 18cm/343p

女たちのサバイバル作戦 [著]上野千鶴子

 ネオリベ(新自由主義)とナショナリズムは仲良しだが、意外なことに「男女共同参画」政策とも親和性が高い。なぜなら女性にも労働市場に参入してほしいから。ただし働くなら男性なみに長時間、バリバリと。でなければ安価でいつでも首を切れる調整弁として。ネオリベは既得権益を持つ集団(男性)と持たない集団(女性)の双方に亀裂を入れ、勝ち組の男・女、負け組の男・女を作り出した。いまや若年層では男女ともに約5割が非正規雇用という。団塊世代でついに「高齢者」となった著者がネオリベ改革の30年を振り返り、女性に何をもたらしたか、雇用と労働を中心に論じる。「サバイバル」という言葉が30年前より切実な響きを持つ。
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 文春新書・840円