「移行化石の発見」書評 進化論の入門書としても好適
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2011年06月05日
移行化石の発見
著者:ブライアン・スウィーテク
出版社:文藝春秋
ジャンル:自然科学・環境
ISBN: 9784163739700
発売⽇:
サイズ: 20cm/428,17p
移行化石の発見 [著]ブライアン・スウィーテク
「移行化石」とは、生物種の進化の隙間をつなぐ中間形態の生物化石のこと。その不在は、ダーウィン進化論の「弱点」とされてきた。しかし本書によれば、ダーウィンの時代には発見されていなかった中間形態の化石が近年続々と発見されている。羽毛を持つ恐竜もその一つで、恐竜から鳥が進化したことを示す重要な証拠とされる。
しかし著者はまた、進化は特定のゴールに向かって直線的に上昇したものではないと強調する。現生種とは、無数に枝分かれした多様な生物種の中で「最後に残された頼りない小枝」に過ぎず、ヒトもまた例外でないと結論づける。最新の研究成果が盛り込まれ、進化論の入門書としても好適。
(野中香方子訳、文芸春秋・2200円)