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「漢字はうたう」 詩でふくらむ漢字のイメージ

「漢字はうたう」

 漢字の語源や成り立ちを学ぶ本かと思って読むと、びっくり。漢字ってこんなに自由に遊んでいいんだと気づかされる詩の絵本だ。漢字の中に隠れた文字をみつけ、イメージをふくらませる。読者を招き入れるベレー帽をかぶった子どもは、漢字の「字」。3人入ってもまだ1人入れる「傘」という字の温かさ。「本」という字をじっと見れば、昔は木だったことを感じる。
 分解して、意味を眺めて。パズルを解くような、絵を味わうような、知性と感性をくすぐる18編の詩。
 言葉とほどよい距離感で詩を描く絵は、太い輪郭線と柔らかな色で昭和の童画を彷彿(ほうふつ)とさせる。空の色で夕刻を知り、学びも遊びのうちだった、懐かしく豊かな時代を思い起こす。(絵本評論家・作家 広松由希子さん)

「かならずお返事書くからね」

 アメリカの少女の優しさが、ペンフレンドであるアフリカの少年の人生を変えた本当にあったお話。おこづかいやバイトでためたお金を送るという少女の支援のおかげで、少年は学校を卒業することができた。少女の優しさから始まった支援の輪が大きく広がっていく展開に心は震え、同時に手紙のすばらしさにも気づく。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん)

「ドリーム・プロジェクト」

 同居した祖父が寂しそうなのに気づいた中2の拓真は、友だちの知恵と協力も借りて、かつて祖父が住んでいた山間の家を地域の集会所にしようと、クラウドファンディングで古家の修理費を集めることに。果たしてお金は集まるのか? どきどきしながら楽しく読めて、社会参加の仕方についても考えられる作品。(翻訳家 さくまゆみこさん)朝日新聞2018年6月30日掲載