どんなに気楽そうに見えても、家族のためにいつも頑張っているお父さん。最近では「イクメン」なんて言葉も登場し、気がつかないうちに「理想的な父親像」に縛られて息苦しくなることもあるでしょう。そんなお父さんを応援するために、型破りで個性的なお父さんが大活躍する小説とコミックを集めました。
- お父さんのバックドロップ(集英社文庫)
- お父さんは心配症1(集英社)
- シュルツ全小説(平凡社)
- 天才バカボン1(竹書房文庫)
- 強父論(文芸春秋)
(1) お父さんのバックドロップ
息子に「尊敬できない」と告白される悪役プロレスラーのお父さんをはじめ、ヘンテコで個性的なお父さんたちが登場する短篇集です。普段は子どもっぽくて頼りないけれど、それぞれのお父さんが息子や娘を見返すために大奮闘。型にはまる必要はない、という作者のメッセージが感じられる、笑えてホロリとさせられる一冊です。
(2) お父さんは心配症1
高校生・典子のお父さんの、常軌を逸した溺愛っぷりがおかしいギャグコミックです。娘の日記をのぞき見たり、電話を盗み聞きしたりするのは当たり前。学校のフォークダンス大会を「性欲をめばえさせる!」という理由で中止させるなど、その行動はエスカレートしていきます。女の子をもつお父さんにオススメしたいコミックです。
(3) シュルツ全小説
物語の中心となるのは、異常な奇行をくり返すお父さん。突然、黄金の甲冑を着て家族の前に現れる。鳥への情熱にとりつかれ、屋根裏部屋であらゆる種類の鳥を育てる。ついにはザリガニやあぶら虫に変身するなど、やり放題。その奇抜さとグロテスクさに唖然としつつも、予想不可能な自由奔放っぷりにグイグイ引き込まれてしまいます。
(4) 天才バカボン1
家族の心配も世間体もよそに、常に自分の思うがままに行動し、周りを混乱におとしいれるバカボンのパパ。それでも家族に愛され、どんなに悲惨な状況も「これでいいのだ!」の一言で解決してしまえる彼は、もしかすると世の中のお父さんにとって理想の人物像といえるかもしれません。
(5) 強父論
ここに登場するお父さんは、ある年代には典型的な父親像かもしれません。驚くほどの強権発動の実態が描かれていますが、それでもこの親子はなんとなくユーモラス。娘の目を通して語られるエピソードの数々は、一家の長として理想の父親像を体現しようとする父親が、微笑ましくも右往左往しているようにも見えます。