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「わたしたちだけのときは」 静かに届く、認め合う大切さ

「わたしたちだけのときは」

 なぜ、おばあちゃんは明るい色の服を着て、三つ編みを長く垂らし、小鳥に「クリー語」で話すの? 「それはね……」。おばあちゃんが子どもの頃の話をしてくれます。
 遠い寄宿舎へ入れられ、暗い制服を着せられ、髪は短く刈られ、母語も禁じられたこと。20世紀までカナダの先住民を苦しめた「同化政策」の歴史です。でも「わたしたちだけのときは」秋はきれいな落ち葉を服につけたり、春は髪に草を編み込んだりして、自分たちの心を守っていました。
 あたたかな形と深みのある色感、素朴で表情豊かな絵。遠い過去の話ではなく、個人の自由や多様な文化を認め合う大切さが、静かに胸に届きます。「だから、いまは」と続けるおばあちゃんの言葉に力づけられます。(絵本評論家・作家 広松由希子さん)

「石はなにからできている?」

 この絵本を読んで、身近にある石ころがこんなにも美しい色をしていたのかと改めて気づかされた。月の石が灰色ばかりなのに比べて水の惑星である地球の石の色は何て豊かなことかと驚く。まさに「石ころは地球に咲く花」ということばがぴったりだ。石の表面のつぶつぶやキラキラなどから、石のことをもっと知りたくなる写真絵本。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん)

「いいたいことがあります!」

 6年生の陽菜子は、母親がうっとうしい。家事も勉強もちゃんとやれと言い、できないと叱るからだ。
 ある日、陽菜子は不思議な女の子に出会う。その子が忘れた手帳には、「親に支配されたくない」という言葉も。この子はだれなのか? 謎を追っていくうち、いろいろなことが少しずつわかってくる。(翻訳家 さくまゆみこさん)朝日新聞2018年10月27日掲載