1. HOME
  2. 書評
  3. 「男たちよ、ウエストが気になり始めたら、進化論に訊け!」書評 男らしさは病気の元だった!?

「男たちよ、ウエストが気になり始めたら、進化論に訊け!」書評 男らしさは病気の元だった!?

評者: 出口治明 / 朝⽇新聞掲載:2018年11月17日
男たちよ、ウエストが気になり始めたら、進化論に訊け! 男の健康と老化は、女とどう違うのか 著者:リチャード・ブリビエスカス 出版社:インターシフト ジャンル:健康・家庭医学

ISBN: 9784772695619
発売⽇: 2018/09/15
サイズ: 19cm/269p

男たちよ、ウエストが気になり始めたら、進化論に訊け! [著]R・ブリビエスカス

 僕のウエストは70センチ台から90センチ台へと進化した。気にならないわけではないが半ばあきらめていた。そこに本書の登場である。
 ほとんどの動物は生殖を終えたら死ぬ。進化論からすれば当然だ。ではなぜヒトは閉経後も長生きするのか。「おばあさん仮説」によると、祖母が子育てを手伝うことにより彼女の娘はより多くの子を残せるからだ。男性はどうか。筋肉をつかさどる男性ホルモン、テストステロンが加齢に伴って減少するので脂肪が増える。だが実は男らしさは病気の元であり「ぽっちゃり父さん」の方が長生きするのだ。男性は年をとると、投資対象を筋肉増強から子供の養育や配偶者へと移すのだと著者は言う。
 このように考えると、ウエストの進化は喜ぶべきだということになる。男性は生存可能性を基準とすれば女性より虚弱なのだ。「弱き者よ汝の名は女なり」というハムレットの台詞は間違っていたのである。