高校生棋士の藤井聡太(そうた)七段(16)の師匠である。まな弟子をありのままに描いた「弟子・藤井聡太の学び方」(PHP研究所、税別1400円)がこのほど、第30回将棋ペンクラブ大賞の文芸部門で大賞に選ばれた。
藤井七段の快進撃にあわせて、「藤井本」は多数出版されてきたが、まな弟子の姿を飾らず、自分の言葉でそのまま伝えたいと考えたのが執筆の動機だった。全編を貫くのは、その謙虚な姿勢。タイトルを藤井七段に対する「教え方」ではなく、「藤井聡太の学び方」としたことにも象徴される。藤井七段のありのままの姿はもちろん、自らの修業時代のことや、自分の師匠である板谷進九段(故人)のこと、藤井七段と一緒にしのぎを削ったが、棋士になれなかった弟子たちのことなども丁寧につづった。
杉本七段は将棋の戦術書にも定評があり、最新刊「入玉の極意」(マイナビ出版、税別1540円)も9月に出版。棋士としては、八段昇段まであと6勝まで迫る。名人戦C級1組順位戦では5連勝で、藤井七段らとともに昇級争いを演じている。(佐藤圭司)=朝日新聞2018年11月14日掲載
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