『あの日からの或る日の絵とことば 3.11と子どもの本の作家たち』は、東日本大震災を境に絵本の作風が変わったと感じている絵本編集者の筒井大介さんが、作家たちが抱え込んでいる思いをそろそろ聞いてみてもよいのではないかと感じて企画した。
32人の作家が絵とエッセーで震災後の出来事や不安、創作への思いなどをつづっている。東北の被災者というわけではないが「何も被っていないとは言えない」人々の体験談である。
生死に向き合い動物を描く気持ちが変わったという作家、里山の風景は変わっていなくても「時間の肌触り」が変わってしまったと感じている作家。日常においては「あの頃のことを忘れている後ろめたさ」や、怖いから思い出したくないけれど「忘れすぎてもいけない」と自らに言い聞かせる日々が記されている。言葉にならない部分は絵が伝える。「あの日から同じ地続きの日々を生きている」読者が思いを重ね合わせられる瞬間があればと願う編者の思いを受け止めたい。(久田貴志子)=朝日新聞2019年4月6日掲載
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