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新書ピックアップ(朝日新聞2019年7月6日掲載)

『人類の起源、宗教の誕生』 

 人類学者・霊長類学者の山極氏と宗教学者の小原氏が議論を交わし、人類史上の宗教の起源を探る。想像力と言葉の関係、魂というものの現れた時期、なぜ宗教に断食があるかなどについて討議した。他者の存在と神の始まり、宗教の人類史的な意義を考察する補論も興味深い。
★山極寿一・小原克博著 平凡社新書・907円

『歴史戦と思想戦』

 歴史戦は、南京虐殺や「慰安婦」問題などへの批判を、中国・韓国政府による不当な攻撃として、「歴史を武器にした戦いを受けて立つべきだ」とする考え方だ。産経新聞が本格的に始めたこの戦いに参戦する論者の主張や戦術を検証。太平洋戦争期の「思想戦」「宣伝戦」との関連も分析。
★山崎雅弘著 集英社新書・994円

『世界の危険思想』

 副題は「悪いやつらの頭の中」。世界各地の危険地帯をよく知るジャーナリストが著者。殺し屋、麻薬ビジネス、ギャング、武器商人、裏社会と癒着した警察など、これまで取材してきた「危ない」現場を紹介していく。人間の悪意がいかに生まれるか、その内実に迫る。
★丸山ゴンザレス著 光文社新書・799円

『未来を生きるスキル』

 AI(人工知能)やICT(情報通信技術)の導入や進化、少子高齢化社会において、変化に柔軟に対応する力や知識、スキルを身につけ、家庭や会社だけではない関係性を作ることが必要と社会学者の著者が指摘する。目指すは多様な人々が課題を解決するために協力する「協働」の社会だ。
★鈴木謙介著 角川新書・907円

『1979年の奇跡』

 ポップカルチャーの歴史をたどると奇跡的な年にたどりつく。1979年だ。「機動戦士ガンダム」放映開始、YMO「テクノポリス」リリース、村上春樹が「風の歌を聴け」でデビュー……。マンガ解説者の著者が、個人的な体験にも触れながら社会的背景を探る。
★南信長著 文春新書・918円