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「報道事変」など、今週注目の新書5選(朝日新聞2019年8月3日掲載)

『動物園は進化する』 

 ゾウの飼育に関わってきた日米の著者が新しい飼育法を紹介。ゾウをコントロールするとがった道具の「手鉤(てかぎ)」を使う「直接飼育」から、飼育係の安全性とゾウに最適な環境を整える「準間接飼育」への移行を提唱、動物園のあり方を考える。
★川口幸男、アラン・ルークロフト著 ちくまプリマー新書・907円

『報道事変』

 官房長官会見で粘り強く質問を重ねる記者への官邸の露骨な妨害や、報道への圧力が強まる中、ジャーナリストたちが今春「FIGHT FOR TRUTH!」を掲げ、会社や労組の枠を超えて官邸前に集った。著者は新聞労連の中央執行委員長。知る権利と報道の自由の危機的状況に迫る。
★南彰著 朝日新書・853円

『同調圧力』

 東京新聞記者の望月氏、元文部科学事務次官の前川氏、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長のファクラー氏が同調圧力を論じる。政権に忖度(そんたく)し、批判すべきことも抑えがちと指摘される日本のメディアだが、米国では権力に屈しない調査報道が活況だ。
★望月衣塑子、前川喜平、マーティン・ファクラー著 角川新書・907円

『限界のタワーマンション』

 20階以上の鉄筋コンクリート造りの集合住宅であるタワーマンションの実態は? 最寄り駅の大混雑、15年おきに発生する可能性がある大規模修繕費の負担、地震災害での弱点、健康への恐れの影響や子育てへのリスクなど、いろいろな側面から懸念される問題点を指摘する。
★榊(さかき)淳司著 集英社新書・864円

『ハーバードの日本人論』

 メディア論や美術史、遺伝学、比較政治学など10の分野からみた「日本人」論。ハーバード大の教授陣に著者がインタビューした。アニメから読み解く人間とロボットの関係、世襲議員を多く出す社会構造、遺伝学から見る縄文人と弥生人の交配など、異文化から日本を再発見する。
★佐藤智恵著 中公新書ラクレ・950円