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昭和史に向き合った半世紀の軌跡 保阪正康さん、故郷で特別展

保阪正康さん=浅野哲司撮影

 半世紀の間、「あの戦争とは何だったのか」との問いを掲げ、昭和に向き合ってきたノンフィクション作家・保阪正康さん(79)の軌跡をたどる特別展「保阪正康の仕事 『昭和史』との対話」が、北海道立文学館(札幌市)で開催中だ。史実を解き明かした取材を物語るノートなど約300点の展示を通し、「昭和史の語り部」の仕事を振り返る。11月7日まで。

 保阪さんは1939年に北海道で生まれ、32歳で最初の著書『死なう団事件』を発表した。年表の1行に略された史実に分け入り、『東條英機と天皇の時代』『昭和陸軍の研究』など数々の著作を発表。タイトル数で146冊、文庫版なども含めると200冊を超える。

 特別展を企画した同館の吉成香織主任学芸員は「令和という新しい時代を迎え、昭和は同時代史から『歴史』になろうとしています。昭和史を一途に検証してきた保阪さんの仕事を振り返ることで、保阪さんが次世代に語り継ぎたいと思う歴史の教訓を、広く知って欲しい」と語る。

 全著書のほか、天皇側近の取材ノートや、陸軍関係者との書簡の一部など、史実に迫るために実直に集めた証言資料の一部も展示する。22日には同郷のノンフィクション作家、梯久美子さんとの対談も。問い合わせは道立文学館(011・511・7655)へ。(浜田奈美)=朝日新聞2019年9月4日掲載