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「教養としてのミイラ図鑑」 ミイラは薬だった!?

 死んだ人を在りし日の姿のままとどめようとしたミイラ。映画などからミイラのイメージはつくものの、「なぜミイラが作られたのか?」「どのように形を保ってきたのか?」など、実はあまり知らないことが多いのではないでしょうか。

 そんな知っているようで知らないミイラについて学べるのが「教養としてのミイラ図鑑」です。世界のミイラをエジプトや中南米などのエリアごとに分け、それぞれの特徴やミイラに込められた思いや願い、ミイラが作られた当時の死生観などを最新研究結果とともに解説。写真や図版がたっぷりとあり、目にも刺激的な図鑑となっています。

 個人的に一番驚いたのが、ミイラに実用性があったということ。なんと、中世ヨーロッパや江戸時代の日本でも薬として使われていたといいます。日本語の「ミイラ」は、痛み止めや健胃薬などに使われる「没薬(もつやく)」を意味するポルトガル語の「ミルラ」に由来するんだとか。ヨーロッパからエジプトを訪れる観光客の間では、ミイラの頭部が人気のおみやげだったそうです。

 11月2日からは東京・上野の国立科学博物館で特別展「ミイラ」も開幕。本展では、世界各地のミイラ43体を展示し、ミイラたちの背景にある文化や最新のミイラ研究の成果などを紹介するのだそう。生ミイラを拝む予習・復習にもおすすめの一冊です。