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「もっとさいはての中国」など、今週注目の新書5選(朝日新聞2019年11月16日掲載)

『日本語と論理』

 言語哲学の視点から、非論理的と言われる日本語の論理を哲学者の著者が再考した。単数形と複数形の区別がなく、冠詞もないという日本語の特徴や、「以下」「少なくとも」「ちょうど」「おおよそ」などの量化表現など、具体例から詳細に解説。各章の終わりに要点もまとめた。
★飯田隆著 NHK出版新書・1045円

『インドが変える世界地図』

 インドが米中に次ぐ第3の大国への道を歩んでいる。2014年に就任したモディ首相は斬新な政策を打ち出し、インドに大きな変化をもたらした。なぜIT産業が盛んなのか、モディ首相の人物像、日本や中国との関係など、NHK元ニューデリー支局長が最新情勢を報告する。
★広瀬公巳著 文春新書・968円

『もっとさいはての中国』

 ルワンダの縫製工場からカナダの秘密結社チャイニーズ・フリーメイソンまで、世界の中国人社会や中国人を大宅壮一ノンフィクション賞受賞の著者がルポ。『さいはての中国』に続く第2弾。中国からの移民や亡命者が語る本国との関係も多彩だ。中国の「未知の素顔」を各地に追う。
★安田峰俊著 小学館新書・924円

『現場のドラッカー』

 ドラッカー経営学を実践し、20年間赤字続きだった会社がV字回復を遂げた事例などを挙げて極意を説明。ドラッカー経営学には「人間はどうすれば幸せになるか」という考えが根底にある。ドラッカー経営学導入コンサルタントの著者が、激動の今こそ活用できる理論を実践的に解説。
★國貞克則著 角川新書・990円

『コミュニティと都市の未来』

 都市ではグローバル化が進むが、分断や格差も拡大。「不寛容な社会」「非寛容時代」の雰囲気に包まれている。社会学者の著者が、異なる他者との共存をテーマに、森鷗外や夏目漱石の都市へのまなざしや、障害者とコミュニティーなど多様な切り口で都市での共生を考察した。
★吉原直樹著 ちくま新書・968円=朝日新聞2019年11月16日掲載