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Mリーグ参戦で俳優・萩原聖人さんが感じた麻雀の可能性

文:井上良太(シーアール) 写真:家老芳美

Mリーグ参戦で改めて知った勝利の大切さ

——Mリーグは現在、2019年シーズン(2019年9月~2020年4月)の終盤戦です。プロリーグでの約2シーズンを振り返っての感想を聞かせてください。

 麻雀を打つのはおもしろいし、リーグの発足当初からそれをどう視聴者に届けるかを考えてきました。ただ、自分の成績を考えると、今の僕は結果も意識しなければならない状況です。プロになる前は俳優業の合間の気分転換であり、嫌なことがあっても麻雀を打てばリフレッシュできる、シンプルに楽しいものでした。でも、プロになりMリーグに参戦してからは、すごくつらいものでもありますね。シーンによっては「やりたくない」と思えるほど(笑)。結果を残すことで喜んでくれる人もたくさんいてくれるということが、プロになってよくわかりました。

 AbemaTVでは、無料で毎週Mリーグの熱い試合が見られる。それで今の時代だと、成績が振るわないことで、SNSなどで批判やご意見をいただくこともあります。でもよく考えてみると、反応があること自体が喜ばしいこと。それ以上にたくさんの人が応援してくれていると思っているし、以前よりも麻雀に注目してくれている人が増えた気がします。

 でもそれって、打ち手がやることは変わっていないと思うんですよ。以前から、僕の麻雀を「魅せる麻雀」と言ってもらうことはありました。自分でもそう思っていた部分はあり、それでよく負けるんですが(笑)。それを意識していたのは、麻雀が魅力的なゲームであることを伝えるために、かっこよく勝った方が伝わりやすいと思ったからでもあります。今の自分は、20数年やってきたことをもう一度信じて貫いたうえで、麻雀の楽しさを見せていくしかないかな、と思っています。

——萩原さんは芸能界きっての麻雀通で、フジテレビの「THE われめ DE ポン」など芸能人の対局番組で活躍されており、以前から人気の打ち手でした。

 あの時は無責任でしたね(笑)。あくまで僕の麻雀を好いてくれる人を勝手に背負ってやるだけ。負けるのは嫌ですが、勝敗の先には実は何も残らなかったわけです。今はプロチームのメンバーとして、ファンやスポンサーの思いを背負っていて、それが誇りであり重圧でもあります。

ギャンブルからマインドスポーツへ。感じた認知の変化

——Mリーグは、無料インターネットテレビ局AbemaTVで全試合が生中継されています。「人が麻雀を打っているのを見る」という楽しみ方は以前からありましたが、Mリーグ発足による麻雀を取り巻く環境の変化は感じますか?

 一つは麻雀が広く認知されるようになったこと。もう一つは、パチンコや競馬と同様にギャンブルの一種だった麻雀のイメージが大きく変わったことだと思います。2〜3年前ですら「麻雀が好き」というと、ギャンブルやタバコを真っ先に連想する人が多かったはず。でも今は「Mリーグを見てる」「渋谷ABEMASを応援してる」といった会話が周囲であったり。麻雀がクリーンなマインドスポーツとして認知されてきているのを実感しています。

——スポーツでいえば、野球もサッカーも視聴する層とプレイする層は必ずしも同じではありません。同じくMリーグの視聴も、麻雀のプレイ経験がなくても楽しめていると思うんです。

 その通りです。そういう意味で、個性的で超一級のプロ雀士が激突するMリーグが無料で見られるというのは大きいです。現在Mリーグの視聴者が増えているのは、おもしろいと思ってくれている人が多いからでしょうし。でもそれって、雀士が何かを変えたわけではなく、麻雀そのものも変わっていない。チーム制を導入してメンバー共通のユニフォームを着たり、視聴方法だったりと従来と変わったのは見せ方の部分が大きい。麻雀は4人必要だし雀卓が必要だし時間がかかるし、複雑そうなイメージも含め、やはりプレイするにはハードルが高いんですよ。だからまずは見て楽しんでくれる人を増やして知ってもらう。まずはそこですね。麻雀というゲームには、エンタメの要素がたくさん詰まっているんです。ドラマチックな一発逆転が頻繁に起こり、「えっ!」と驚くようなことを打ち手の意思で狙うこともできます。

パブリックビューイングによる楽しみ方の変化

——その延長で、Mリーグではファンが集まり対局を観戦するパブリックビューイングも実施していますよね。2019年12月3日には、EX THEATER ROPPONGIで過去最大規模の「Mリーグプレミアムナイト」を開催して約900席が埋まりました。その点からも、麻雀が秘めているエンタメ性を感じます。

パブリックビューイングの様子(Mリーグ機構提供)

 何度もパブリックビューイングを開催してきましたが、Mリーグプレミアムナイトで約900席が埋まったのにはびっくりしました。その日に対局のないプロによる解説やハイタッチ会、トークなど盛りだくさんの内容ではあるのですが、チケットは8500円と決して安くはない。結構いい芝居が見られちゃうわけですよ(笑)。ありがたいけど、本当にありがたいからこそ、お客さんにまた来てもらうため、僕たちももっと頑張らなければいけないと気が引き締まりました。

——インターネットで動画を見る文化が定着したことで、プロ雀士の対局を目にする機会は格段に増えました。でも、たいていは1人で見て楽しむものだったと思います。そういう意味でパブリックビューイングは、新たな麻雀の楽しみ方を提示したのではないでしょうか。

 まさにそうだと思います。大型スクリーンで対局を見て、隣の人と語り合って、盛り上がれる。それはMリーグ独自の見せ方である「麻雀を共有する」「推しチームを共有する」ことによる新たな楽しみ方です。ちなみに、パブリックビューイングでは客席をチームごとに分けているので、より一体感があると思います。

——かつてオタク文化とされていたビデオゲームが、eスポーツとして確立されたことで、世界規模で人々を熱狂させる文化になったのに似ています。

 eスポーツと肩を並べるなんてまだまだ恐れ多いですし、世界中で流行するにはルール的な課題もありますが、ぜひそうなってほしいです。現時点で確かに一つだけ言えるのは、麻雀が変わってきているということ。まだまだ道半ばですが、トライ&エラーでもいいから、僕たちもファンの方々がもっと楽しめるよういろんなことにチャレンジしていきたいですね。

ファンと企業を巻き込みさらなるステージへ

——先ほど誇りであり重圧と表現されていましたが、チームや企業を背負って戦うというのは萩原さんにとってどういうものでしょう。

 僕は芸能界に身を置いているので、それでいうとCMで企業や商品の顔をさせていただくことに近いです。でも、プロの雀士としてそういうものを背負うなんて、僕の人生で想像すらできませんでした。僕が所属するTEAM RAIDENがいい戦いをすれば、応援してくれる人が増え、果ては企業のイメージアップにもつながる。TEAM RAIDENは現在、瀬戸熊直樹プロ、黒沢咲プロ、そして僕の3人体制で、ファンにはその中でも特に推しの選手がいると思います。それは野球界におけるチーム、選手、ファンと同じ構図。ただし、Mリーグには読売ジャイアンツや福岡ソフトバンクホークスといった業界を牽引するようなチームがまだないと思うので、Mリーグにもそういうチームが生まれれば、新たなステージに行けるような気がします。欲を言うと、ジャイアンツやホークスのような存在が僕たちならなおいいんですけどね(笑)。

——今後、さらなるファンの拡大も含め、Mリーグがさらに盛り上がるために萩原さんがやりたいことは何ですか?

 Mリーグにおいて僕がやるべきことは結果を出すことです。そして、自分が宣伝要員でありフロントランナーとして世の中の人に注目されるとするならば、俳優業をいかに頑張るかに尽きます。俳優としての説得力がなければ、麻雀についてどこで何を語ってもおそらく届かない。「芝居が下手くそなのに遊びでやっている麻雀」ではなく「本物の俳優が本気で取り組んでいるのが麻雀なんだ」と順を追って説得力をつけていかなければいけません。どちらも真剣に取り組む気持ちを大事にしたいんです。ただ、俳優業が忙しくなると試合に行けなくなってしまって……。痛し痒しなんですけどね(笑)。